Labo_No.555
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6 このため、感染予防には、粘膜や皮膚が梅毒の病変と直接接触しないように、また病変の存在に気づかない場合もあることから、性交渉の際、コンドームを使用することが推奨されています。避妊のためにピルを服用していても、コンドームを使いましょう。妊娠する可能性のないオーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)の際にもコンドームを使用します。ただし、コンドームが覆わない部分から感染する可能性もあるため、コンドームで100%予防できると過信するのは禁物です。そして、何か不安に思ったらすぐに検査を受けましょう。さらに忘れてはいけないことは、梅毒は、いったん治っても、再感染を予防する免疫が得られないため、何度でも感染するリスクがあることです。つねにコンドームの使用やパートナーの治療など、適切な予防策を講じる必要があります。なお、梅毒は5類感染症で、診断した医師は7日以内に保健所への届け出が義務づけられています。不特定多数の人との性的接触は、感染リスクを高めます。梅毒患者が急増している現状、セックス経験のある人なら梅毒はだれでも感染する可能性があるということ、早期発見・早期治療が大切だということなど、まず梅毒について知ったうえで行動することが、最大の予防になるのではないでしょうか。てペニシリンなどの抗菌薬の内服や注射を行います。日本では、抗菌薬の内服治療が一般的に行われてきました。2021年に、梅毒の世界的な標準治療薬であるベンジルペニシリンベンザチン筋注製剤が、国内での製造販売が承認されました。神経梅毒などの場合は、抗菌薬の点滴により治療が行われます。ペニシリンアレルギーのある場合は、ミノサイクリンなどが使われます。内服治療の場合、内服期間は病期などを考慮して医師が判断します。医師の許可を得るまでは、症状がよくなっても、自己判断で内服を中断してはいけません。医師が安全と判断するまで、性交渉などの感染拡大につながる行為も控えましょう。感染の可能性があるパートナーにも検査を受けてもらい、検査結果に応じて治療を行う必要があります。梅毒の病原体である梅毒トレポネーマは、感染者の傷口からの滲出液、精液、膣分泌液、血液などの体液に含まれており、非感染者の粘膜や傷口などと直接接触することによって感染します。性器や肛門、口などの粘膜を介する性的な接触によって感染するケースがほとんどといえます。梅毒を予防するには?性交時には必ずコンドームを眼、口腔、咽頭、陰部、消化管、肛門など、粘膜、粘膜皮膚移行部、皮膚に、発疹がある皮膚に発疹(紅斑、丘疹など)がある梅毒トレポネーマ抗体陽性またはRPR陽性皮膚以外の臓器に病変(疑い)がある病歴(感染機会・治療歴)や梅毒トレポネーマ抗体・RPRの値の推移を検討活動性梅毒と判断した場合は、治療健診やルーチン検査で梅毒トレポネーマ抗体陽性2025.04 – LABO ■図表4 梅毒検査

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