Labo_No.555
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05     治療ガイドライン』では、梅毒の検査として血液検査による梅毒抗体検査と、皮膚や粘膜などの病変部位からの滲出液を調べるPCR検査などの核酸増幅法をあげています。しかし、PCR検査は保険適用ではなく、検体採取に習熟していないと検出感度もよくないとして、実際には血液検査が行われています。血液検査では、TP(梅毒トレポネーマ抗体)とRPR(非トレポネーマ脂質抗体)という2つの抗体検査の結果をみて判断します。TPは過去に梅毒に感染したことがあることを示す抗体で、RPRは現在の梅毒の活動性を表す指標です。梅毒の検査は、医療機関や保健所で受けられます(詳細は7ページ参照)。性的接触のあと、いつもとは違う症状がみられたり、梅毒感染に心当たりがあったりするときは、すぐに近くの医療機関で検査を受けましょう。検査を受ける際には、検査結果を正確に判断するために、感染の可能性がある時期や感染の予防状況(コンドームの使用など)について、医師に伝えるようにしましょう。さらに、パートナーも検査を受け、必要に応じて治療を受けてもらうことも重要です。梅毒の治療は、病気の進行具合に応じ現在では、抗菌薬の普及などから、晩期顕症梅毒は稀であるといわれています。このように、梅毒に感染しても、症状が軽くなったり一時的に消えたりする時期があるため、感染に気づきにくく、治療の開始が遅れがちです。感染の心当たりや疑われる症状があるときは、すぐに検査を受け、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。妊娠している女性が梅毒にかかると、胎盤を通して胎児に感染し、早産や流産、死産のリスクが高まります。また、母子感染によって赤ちゃんが梅毒にかかった状態で生まれる「先天梅毒」となることがあります。先天梅毒で生まれると、出生時は無症状のこともありますが、生後数か月以内に発疹や骨に異常が出ることがあるほか、数年後に目の炎症や難聴などの症状が出ることもあります。近年、梅毒報告総数の増加とともに先天梅毒の報告数も増えています。梅毒の診断は、医師による診察と血液検査によって判断されます。日本性感染症学会の『性感染症診断・ペニシリンの内服や注射で梅毒は完治が望める病気に!胎盤を通して赤ちゃんに感染先天梅毒も増えている「もしかして?」と思ったら悩んでいないで検査を受けよう!■ LABO – 2025.042,9262,2162,17589543319191340-910-1920-2930-3940-4950-5960-6970以上2,3481,766 63257931829510348(歳)3,0002,5002,0001,5001,000500(件)参考:政府広報室   *2023年は第1週から第52週に診断された報告数男性女性早期顕症梅毒 Ⅰ期 数週間早期顕症梅毒 Ⅱ期 数か月晩期顕症梅毒 数年 晩期顕症梅毒 数十年 性器・肛門・口にできものが出現太もものつけ根のリンパ節腫瘍*できものは約1か月で自然に消える手のひら・足の裏・体幹に赤い発疹(バラ疹)ができる*発疹は半年以内に消える全身で炎症が進行する全身の皮膚や筋肉などにゴムのような腫瘍の発生脳・心臓に心血管梅毒、進行麻痺、脊髄癆など図表2 年代別にみた梅毒報告数(2023年)図表3 梅毒の症状

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