04 潰瘍が出ます。また、鼠そ径けい部ぶ(太もものつけ根の部分)のリンパ節が腫れることもあります。これらの症状は痛みをともなわないことが多く、治療をしなくても症状は自然に軽快します。しかし、体内から病原体がいなくなったわけではありません。ひそかに病気が進行し、この時期は、ほかの人に感染しやすい時期です。 ■早期顕症梅毒Ⅱ期:感染後数か月感染から3か月程度経過すると、梅毒トレポネーマが血液によって全身に運ばれます。小さなバラの花に似ていることから「バラ疹(ばらしん)」と呼ばれる淡い赤い色の発疹が、手のひら、足の裏、体幹部などに出ることがあります。そのほかにも、肝臓、腎臓など全身の臓器にさまざまな症状を呈することがあり、アレルギーや風しん、麻しんなどほかの感染症に間違えられることもあります。発疹などの症状は、数週間以内に自然に軽快しますが、梅毒が治ったわけではありません。 ■晩期顕症梅毒:感染後数年~数十年感染後数年程度経過すると、ゴム腫と呼ばれるゴムのような腫しゅり瘤ゅうが皮膚や筋肉、骨などに発生し、周囲の組織を破壊してしまうことがあります。また大動脈瘤などが生じる心血管梅毒や、精神症状や認知機能の低下などをともなう進行麻痺、歩行障害などをともなう脊せき髄ずい癆ろうがみられることもあります。来するといわれています。ペニシリンなどの抗菌薬の普及により、梅毒は早期に適切な治療を受ければ、完治が可能な病気になりました。しかし、治療をしないまま放置していると、数年から数十年のあいだに心臓や血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死に至ることもあります。また、妊娠している人が梅毒にかかると、流産や死産となり、子が梅毒にかかった状態で生まれる先天梅毒になることもあります。梅毒は 「模倣の名人(TheGreatImitator)」と呼ばれ、全身に多彩な症状をきたします。症状は病期によって出現する場所や内容が異なります。また、潜伏梅毒といって、梅毒血清反応が陽性であるにもかかわらず、症状が認められない状態もあります。それが検査や治療の遅れや、感染の拡大につながっています。潜伏梅毒は、おもに、早期顕症梅毒Ⅰ期とⅡ期のあいだや、Ⅱ期の症状消失後にみられます。梅毒に感染すると、おもに次のような症状が現れます。 ■早期顕症梅毒Ⅰ期:感染後数週間梅毒トレポネーマが侵入した部位、おもに口のなか、肛門、性器等にしこりや梅毒は「模倣の名人」全身に多彩な症状が出現する参考:政府広報室 *2023年は第1週から第52週に診断された報告数2025.04 – LABO ■2359933771,2841836922012201320142015201620172018201920202021202220231,8951,3867603,1893,9311,9305,2984,5199,6088,701(年)14,00012,00010,0008,0006,0004,0002,000男性女性不明2,7172,4162,2551,9655,2614,5914,3873,902図表1 梅毒報告の推移(件)16,00012449720101776502011
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