日本では、1948年から梅毒の発生について報告の制度がありますが、報告数は1967年の年間約1万1千人をピークに減少していました。ところが、2011年ごろから報告数は再び増加傾向となり、2021年以降大きく増加。2022年以降は年間1万例を超える報告がなされており、注意が必要な状況が続いています(図表1)。2023年の報告数は2014年に比べ、男性7・5倍、女性14倍に急増。年代別にみると、男性は20~50代、女性は性は15~24歳の報告数が男性より多くなっており、男女とも10代の報告もみられます(図表2)。梅毒は、梅毒トレポネーマという病原体によって、人から人にうつる病気です。梅毒トレポネーマは、口や性器などの粘膜や皮膚から感染するため、性的な接触(ほかの人の粘膜や皮膚に直接触ること)がおもな感染経路となっています。梅毒という病名は、特有の症状としてみられることのある赤い発疹(バラ疹)が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由年間報告件数が10年前より、女性14倍、男性7・5倍に激増梅毒とは?人から人にうつる病気、性感染症■ LABO – 2025.0420代が突出して増えています。とくに女賢く知って 正しく対処!3 近年、日本で、梅毒の感染者が急増しています。 梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌によってうつる感染症で、世界中に広くみられます。おもに性行為によって感染しますが、感染しても症状が出なかったり、消えたりすることから、感染に気づきにくく、治療の遅れや感染拡大につながりやすい危険な感染症です。 症状がないからといって治療を受けずに放置すると、体のなかで気づかぬうちに進行し、全身に重篤な症状を引き起こします。近年の感染者の急増は若い世代、とくに20代の女性に顕著で、母子感染も心配されます。 あなた自身、大切なパートナー、生まれてくる子どもたちを守るために、知識をもって予防に努め、不安を感じたら迅速に検査を受けましょう。 病気とけんさ患者が急増中!予防&検査で、自分と大切な人を守ろう「梅毒」
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