Labo_No.554
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が、柔道や剣道は小学校の体育科授業で慣れ親しんだ陸上系や球技系の動きとは異なり、日常生活では見られない武道特有の運動課題があります。武道が専門ではない教員にとって、生徒の関心を高め、安全に指導することはなかなか難しいのです。そこで、柔道の授業における学習指導上の課題を取り上げ、初心者の生徒を対象とした技術の習得に役立てられるよう、学習動画を作成しました。――具体的な構成はどのようになっているのですか?楢﨑 準備運動・基本動作・受け身・投げ技、そして固め技の5部構成となっています。例えば、私がバスケットボールやバレーボールの授業で、ジャンプシュートやスパイクを教える際のポイントがわからないとき、このような学習動画があったらと考えていた思いを、この柔道教材に込めました。今年で4年目(最終年度)の取り組みとなり、ほぼ完遂しているのですが、より使い勝手がいいように、改善できる点があればとヒアリングを進めていて、さらにブラッシュアップしたいと思っています。――教育現場以外にも活用できますね。楢﨑 現役の学生はもちろん、指導者の方にも講習会などで活用していただけるのではと思っています。もう1つ、日本代表の柔道選手を対象とした『生育史』、すなわち発育発達期の運動・スポーツ経験に着目した調査・研究も行っています。対象者に、柔道を始めた理由と幼少期の生育環境、柔道以外の運動経験、中学・高校時代の練習内容、指導者との出会いなどについて同様の質問を投げかけることによって、どのような回答が得られるのかという取り組みです。――どのような結果が得られましたか?楢﨑 一般に柔道の場合、競技の専門化を開始してから7~10年で競技者としてのピークを迎えると考えられています。この7~10年にあたる年齢・年代はそれぞれ異なるわけですが、この調査においては、多くの柔道家が中学・高校生年代に競技の専門化が始まり、そのピークを高校卒業後から30歳前後に迎えていました。また、それぞれ生まれ育った環境が違っても、熱心な指導者との出会い、高校時代の膨大な練習量、けがが少ないという3つの共通点があることもわかりました。これらは日本一、世界一になるための重要な共通項として挙げることができると思います。――最後に今後の目標をお聞かせください。楢﨑 柔道とともに歩んできた人生ですが、これからも学び続けて、少しでも柔道界に恩返しできればと思っています。後進の人たちとの交流を楽しみつつ、自信をもって指導ができる自分自身でありたいと。トレーニング指導者の上級資格も取得しましたので、心・技・体の面からバランスよく学び続け、私自身ももっと成長して、学生たちにその内容を惜しみなく提供したいと思っています。■LABO – 2025.031994年 アジア大会(広島)銀メダル     (56kg級)1995年 福岡国際優勝(52kg級)1996年 アトランタオリンピック銅メダル     (52kg級)1999年 福岡国際優勝(52kg級)     世界柔道選手権バーミンガム金メダル     (52kg級)2000年 シドニーオリンピック銀メダル (52kg級)柔道の学習動画の一コマ自信をもって指導ができる自分自身であり続けるために、心・技・体をバランスよく学びます!7Narazaki Noriko’s DATA

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