国をあげてテクノロジーを駆使した介護を推進介護ロボットを積極的に導入しているデンマーク高齢化などによって、介護現場での人手不足が深刻化しています。そうした中で注目されているのが、現代のテクノロジーを駆使した介護です。高齢者や介護を必要とする人々の生活を支え、介護する側の負担を軽減するような技術が、ロボットや人工知能(AI)、IoT(離れた場所にあるモノを遠隔で操作、監視、制御するような仕組みのこと)、情報通信技術(ICT)などの分野で活用されています。たとえば移動支援ロボット、見守りセンサー、AIを使ったケアプラン作成支援プログラムなどがあります。日本は2010年に政府が発表した「新成長戦略」にて生活支援ロボットの普及を進めることなどが示され、厚生労働省と経済産業省は「ロボット技術の介護利用における重点分野」を2012年に策定しました。そして介護ロボットやICTなどのテクノロジーを活用した介護サービスの質の向上、職員の負担軽減、高齢者等の自立支援による生活の質の維持・向上に役立つ取り組みを推進するため、介護ロボットなどの開発、導入を支援しています。2024年の改訂では、名称が「介護テクノロジーの重点分野」と変更されたほか、新たな分野が追加されました。介護テクノロジーの重点分野とされているのは、次の9分野です。①移乗支援(装着、非装着)②移動支援(屋外、屋内、装着)③排泄支援(排泄物処理、動作支援、排泄予測・検知)④入浴支援⑤見守り・コミュニケーション(施設、在宅、コミュニケーション)⑥介護業務支援⑦機能訓練支援⑧食事・栄養管理支援⑨認知症生活支援・認知症ケア支援このように日本では10年以上前から国をあげて介護テクノロジーを支援しているわけですが、現実には広く普及しているとはいえない状況です。分野別の普及率をみると「移乗支援」9・7%、「移動支援」1・2%、「入浴支援」11・2%、「排泄支援」0・5%、「介護業務支援」ション」30・0%となっています(「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査結果」より)。一方、世界に視野を広げると、介護テクノロジーが広く普及している国もあります。福祉国家として知られるデンマークでは、ロボットやICTなどの技術を福祉に導入することにも積極的で、国の政策として2007年ごろからウェルフェア(福祉)とテクノロジーを組み合わせた「ウェルフェア・テクノロジー」の取り組みを実施してきました。介護ロボットの導入も積極的に行い、高齢者の自立した生活をサポートするほか、認知症ケアなどにも取り入れています。テクノロジーの導入が進んでいる背景には、そもそもデンマークは介護分野に限らず、社会全体でデジタル化が進んでいるという点が挙げられますが、そのほかに介護現場でのロボットの実証実験を行いやすい環境があるという点もあります。日本でも多くの企業が介護ロボットの開発を進めていますが、日本の介護現場では実証実験しやすい環境が十分に整っていません。このため、デンマークで介護ロボットの実証実験をする日本企業もあります。12人工知能(AI)技術の向上など、テクノロジーの進化によって、身近な存在になってきたロボット。福祉国家として知られるデンマークでは、ケアや福祉に先端技術を導入する「ウェルフェア・テクノロジー」を早くから掲げ、動物型ロボットを導入して、認知症ケアなどに対する効果を実証しています。世界的に多くの地域で進む高齢化と人手不足に対峙するために登場しているAIやICT(情報通信技術)などのテクノロジーの現状を紹介します。10・2%、「見守り・コミュニケー2025.02 – LABO ■ 動物型ロボットで認知症ケア高齢者福祉とテクノロジーの今Medical Trendメディカル・トレンド
元のページ ../index.html#12