術後QOLが低下することも発症前と変わらない生活を送れる「watch&wait」国立がん研究センターのデータによると、生涯で大腸がんにかかる人は男性で10人に1人、女性で12人に1人と推定されています。かかりやすくなります。比較的治りやすく、ほかのがんと比べて生存率が高いですが、死亡数を見ると女性は1位、男性も肺がんに次いで多いのが現状です。大腸がんは、肛門につながる直腸にできる「直腸がん」と盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸にできる「結腸がん」があります。2020年に結腸がんと診断された人は、9万8240人(男性5万1733人、女性4万6507人)、直腸がんと診断された人は、4万9485人(男性3万1076人、女性1万8408人)。結腸がんのほうが2倍近く多いことがわかります。結腸がんの中でも日本人に特に多いのが、S状結腸がんです。S状結腸と直腸には、便をためておく貯蔵タンクのような役割があり、便に通常含まれる発がん物質と接触する時間が長いことから、がんが発生しやすいと考えられています。大腸がんは早期発見の意義が非常に大きいがんです。早期のステージⅠで治療できれば、5年生存率は99%近くで、ほぼ治るといえるからです(全国がんセンター協議会加盟施設の生存率協同調査)。さらに早期であれば、お腹を切らずに肛門から器具を挿入しがんを切除する内視鏡治療で治る可能性が高くなります。検査を受けることが推奨されていますが、早期のがんを見つけるには、大腸内視鏡検査が有効だといわれています。大腸内の壁は内側から順に粘膜、粘膜下層など層に分かれていますが、がんが粘膜下層まで1mm以上深く入り込んでいる場合はリンパ節に転移している可能性が高くなるため、手術が選択されます。大腸がんは、再発率が低く、手術で完全に切除できれば、治りやすいがんといえます。しかし、肛門に近い直腸がんであれば、肛門と直腸を切除するのが基本となるため、人工肛門(肛門の代わりとなる便の出口)を造る必要があります。がんのある位置と肛門の間にある程度距離があり、自分の肛門を残せたとしても排便回数が増えるなど、排便機能が低下しやすくなります。つまり、手術によってがんは治ったとしても、QOL(生活の質)が著しく低下することがあるのです。そこで現在、世界的に注目されているのが直腸がんに関して、手術をせずに肛門を残し、慎重に経過を診る「watch&wait」という治療です。対象となるのは、ステージⅡ~Ⅲの肛門に近い直腸がんです。このケースでは、術前に薬物治療と放射線治療をすると、3~4割の人はがんが消失することがわかってきました。この場合、手術をせずに経過をみます。がんが再び出てきたら、その段階で手術をします。海外のデータでは手術が必要になるのは、4人に1人くらいです。その多くは治療後2年以内にがんが出てきています。がん■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 大腸がんは治りやすいが1840歳以上の人は、年に1回便潜血40代から増え始め、高齢になるほど20~30代でかかる人もいますが、2025.01 – LABO ■男女性性はは■■■■人人にに■■人人が、大腸がんに切らずに治す大腸がんの最新治療欧米で広く普及「watch&wait」Medical Trendメディカル・トレンド
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