Labo_No.551
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138●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。日本臨床検査専門医会赤坂 和美2024.12 – LABO ■正常正常心房細動心房細動心室期外收縮心室期外収縮不整脈の基本的な検査は心電図検査ですが、安静時短時間の検査では不整脈を診断できないことも多く、長時間心電図検査(ホルター心電図、イベントレコーダー、植込み型心電計など)が行われます。抗不整脈薬により、心房細動を予防し正常なリズムを維持する治療や、心房細動が持続していても心室に伝わる興奮を減らすことで、脈拍をコントロールする治療が行われます。肺静脈周囲を焼灼するカテーテルアブレーションは心房細動の根治的治療であり、アブレーション治療を受ける人は年々増加しています。心房が震える状態である心房細動では、血液がよどむために血の塊(血栓)ができやすくなります。左心房内の血栓が血液の流れにのって動脈を詰まらせると塞栓症を生じ、脳の血管を詰まらせると脳梗塞(心原性脳塞栓症)を発症します。そのため、抗凝固薬にて血栓を予防する必要があります。検査のはなし vol.14専門医が教える不整脈とは?心臓の拍動が不規則のもの、速くなるもの、遅くなるものを指し、治療を必要とする場合と必要としない場合があります。自覚症状がなく、健康診断で不整脈を指摘されることは少なくありません。一方で、不整脈の代表的な症状である動悸は、自分の心臓の拍動を不快感や違和感を伴って自覚するもので、不整脈や心疾患がなくとも認めることがあります。心房細動とはどのような不整脈?心房が細かく動く(震える)状態となる不整脈で、高齢化社会を背景に増加しています。正常な状態では、洞結節から一定のリズムで電気的興奮が発生し、刺激伝導系といういわば電線を伝わって興奮が伝播されるため、前室のような心房とポンプの働きをしている心室は連動して収縮することが可能で、効率的に働いています。しかしながら、心房細動では心室へ不規則に興奮が伝わるため脈は乱れ、多くの場合速くなります。そのため、動悸や息切れなどの症状のみならず、心不全を引き起こします。また、心不全においても心房細動が発症しやすくなります。期外収縮とはどのような不整脈?洞結節以外のところから電気的興奮が生じ、本来のタイミングより早く心臓が収縮するため、脈がとぶ、胸が一瞬つまる感じなどの自覚症状の原因となります。期外収縮を起こす電気的興奮が発生する部位により、上室期外収縮と心室期外収縮に分類されます。治療を必要としないことがほとんどですが、自覚症状の強さや基礎心疾患、期外収縮の出現頻度により治療が行われます。見逃せない検査21異常「心電図検査②(不整脈)」2

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