Labo_No.551
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昭和天皇が召し上がった「おろしそば」福井県でもっともよく食べられているそばが「おろしそば」。大みそかの夜の年越しそばとして広く食され、福井県では冬でも冷たいそばを食べるのが一般的です。結婚式や仏事の〆しの料理として、また、浄土真宗を開いた親鸞の命日前後に行う「報恩講」の夜食としても振る舞われてきました。福井県で「おろしそば」を食べるようになったのは、1601年(慶長6年)、府中(現・越前市)に赴任し、その後越前松平家当主に仕えた本多富とさ正の影響があったといわれています。1947(昭和22年)に昭和天皇が福井でおろしそばを召し上がり、あとで、「越前のみまそばはたいへんおいしかった」とお言葉を述べられ、「越前おろしそば」として名前が全国に広まったのです。のついたままのそばの実)の品質の高さや製粉技術に深く関係しているといわれます。在来種のそばを昔ながらの石臼挽きで製粉することにより、味はもちろん、そば独特の風味が損なわれることもありません。かけ、大根おろしやカツオ節、ネギなどをのせて食べるのが基本ですが、「つゆと大根おろしを別に入れる」「つゆに大根おろしを入れる」「つゆに大根おろしの汁を入れる」などいろいろな食べ方があるようです。おろしそばのおいしさは、玄そば(殻ゆでて水でしめたそばに冷たいつゆをめを郷土料理もう一品!・Memo・羽二重餅絹織物の技術が福井県で確立したのは1887年(明治20年)以降で、つやがあり肌ざわりのよい絹織物「羽二重」は特産品となりました。1905年(明治38年)に、この特産品の羽二重にあやかって誕生したのが名物の「羽二重餅」です。もち米の粉を水でこねて蒸し、砂糖と水飴を混ぜてつくる菓子で、あっさりした甘さが魅力です。●本誌の文書、写真、図版等の無断転載・複製を禁じます。転載・複製をご希望の場合は本協会までご連絡ください。りんしょう犬さんスタンプ購入サイトみんなどんどん使ってネ〒112-0004 東京都文京区後楽2-3-28 K.I.S飯田橋2階電話(03)5805-5250(代表) FAX(03)5805-5252毎月1日発行  1部85円(発行部数36,500部)出典:農林水産省Webサイト、参考資料:農林水産省ホームページ、『ポプラディア情報館 郷土料理』(株式会社ポプラ社)さっぱりとした「すこ」は酒の肴や箸休めにもってこいそばの風味と大根おろしの辛みが相性抜群の「おろしそば」 九頭竜川の上流の山間部はおいしいサトイモの産地で、「報恩講」には八つ頭(サトイモの品種のひとつ)の茎で「すこ」がつくられます。八つ頭の茎はもともと赤みを帯びた色ですが、酢漬けにすることでさらに鮮やかな赤色になります。酢を加えると赤くなる特性はアントシアニンによるもので、昔から「古い血を流す」と伝えられ、食べられてきました。 シャキシャキ食感と甘酸っぱさが食欲を増す「すこ」は福井県でもっともポピュラーな料理のひとつで、干して長期の備蓄に耐える保存食としても重宝されています。医食同源福井県次世代に伝えたい!秋から冬の長期保存食となる「すこ」おろしそば郷土料理麺

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