Labo_No.551
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認知症の原因に働きかける新薬が使用可能に 従来の薬と新薬の違いとは?約10年ぶりに登場した認知症の新しい治療薬が、レカネマブです。認知症の原因、アルツハイマー病発症のきっかけとなる、脳内のアミロイドβを減らす作用が認められ、アルツハイマー病の進行を抑えることが期待されています。アルツハイマー病は、認知症の原因疾患の1つです。認知症は、さまざまな原因疾患により、認知機能が低下し、これまでできていた社会・日常生活に支障が出ている状態のことを指します。原因となる疾患には、アルツハイマー病、レビー小体病、脳血管障害、前頭側頭葉変性症などがあり、最も多いのがアルツハイマー病で、認知症の状態になった場合に「アルツハイマー型認知症」と呼ばれます。物忘れ(記憶障害)から発症することが多く、ゆっくりと進行していきます。アルツハイマー病の発症は、「アミロイドβ」というたんぱく質が何らかの原因で脳の神経細胞の外側に蓄積することがきっかけになるとみられています。蓄積したアミロイドβがかたまりとなると、今度は神経細胞の中に「タウたんぱく」が蓄積します。すると、神経細胞が減少し、認知機能が低下すると考えられています。現在600万人以上が認知症を発症しているといわれていますが、アルツハイマー型認知症はそのうち、最も多い60~70%を占めます。患者数が圧倒的に多いにもかかわらず、これまで根本的に治す薬はなく、症状を一時的に改善する4種類の薬(「ドネペジル」「ガランタミン」「リバスチグミン」「メマンチン」)が承認されているのみでした。いずれの薬も残っている神経細胞ができるだけ長く働くようにすることで、認知症の症状を一時的に改善する効果が期待できます。4種類の薬が登場して以降、認知症を根本的に治す新薬開発のため、世界中で多くの臨床研究が進行していました。しかし、10年以上新薬が承認されることはありませんでした。そうしたなか、2023年1月にFDA(米国食品医薬品局)でレカネマブが承認され、日本でも同年9月に承認されたのです。レカネマブは「抗アミロイドβ抗体」と呼ばれる薬で、抗体の働きで脳内に存在するアミロイドβに結合して減らす作用を持っています。特に蓄積したアミロイドβがかたまりになる前段階のアミロイドβを除去することがわかっています。アミロイドβを除去することで、実際にアルツハイマー病の進行を抑えられるのかということについては、日本を含めたアジア、北米、欧2024.12 – LABO ■認知機能の低下があり、日常生活に支援を要する治療前に、PETなどでアミロイドβ、MRIで安全性を確認多くの介護が必要12アルツハイマー型認知症の新薬「レカネマブ」が2023年9月に厚労省で承認され、12月から発売されています。アルツハイマー型認知症の原因に働きかける、世界で初めての治療薬として大きな注目を集めています。レカネマブに期待される効果、発売後1年近く経っての現状や今後の課題について考えます。治療候補アルツハイマー型認知症軽度認知障害認知機能の低下はあるが、日常生活には大きな支障はない軽 度治療対象者2週間に1度1時間点滴重 度中 等 度日常生活に多くの障害があり、介護が必要図表1 レカネマブ治療対象アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」発売1年現状の課題と今後の期待Medical Trendメディカル・トレンド

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