Labo_No.551
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■■5■■■24■■■■■■ッ■■■■■■■■22■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■「詳しく検査してみましょう」そう言ってくれたのは、町の小さな診療所の先生だった。私は運動の好きな子どもだった。小学生の頃から、水泳記録会、陸上記録会、テニスの大会などに出場していた。滅多に風邪も引かず、丈夫な子だった。中学生になった頃から、突然疲れやすくなった。勉強も部活も力の入れどきである中学2年生のとき、原因不明の高熱が続いた。毎日点滴をしに病院に通った。それでも熱は下がらず、病院の先生からは、「依存心の強い子ですか?」「心因性のものではないですか?」と言われ、ひどく落ち込んだのを覚えている。そんなとき、幼少期にお世話になった診療所の先生に相談に行った。初老の医院長先生は、「一度、詳しく検査してみましょう」と言い、血液検査をした。な病院に検査を依頼しなければならず、その日じゅうには結果は出ない。その日は採血と点滴だけをして帰宅した。に母の電話が鳴った。「すぐに大きい病院に行ってください」り、大学病院へ。診断は「バセドウ病」、そして国指定の難病である「全身性エリテマトーデス」も見つかった。町の小さな診療所なので、大き2日後くらいだった。朝4時頃言われるままに紹介状を受け取私も家族も、初めて聞く名前の病気だった。点滴に通っていた病院でも、まさかその病気だとは思わず、そこまで詳しい検査はしていなかったのだ。「早く医大に来てくれてよかったです」と、医大の先生は言った。緊急入院にはならず、外来で対応できるという。全身性エリテマトーデスは、悪化すれば人工透析にもなり得る病気だ。もし発見が遅れていたらと思うと、今でもぞっとする。重症になる前に病気を発見できたおかげで、外来通院で治療することができた。あのとき、「一度詳しく調べてみましょう」と言ってくれた先生には本当に感謝している。先生が私に、みんなと一緒に学校生活を送る時間を与えてくれたのだと思っている。今も、毎月血液検査をしながら投薬治療を続けている。時間の経過とともに増えた症状、薬の副作用によって生じた骨密度の低下などに落ち込むこともあるが、検査をすることで早期に異状を発見できたり、対策ができたりすることを思えば、自分の身体で何が起きているのかわからない不安からは、大きく逃れられているのだと思う。検査、服薬、生活の工夫を組み合わせて、私は与えられた時間をこれからも生きていく。検査がくれた私のこれからの時間11■ LABO – 2024.12

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