本講座を受講して得られた成果は数多くあるが、1つ特筆するとすれば「学ぶことの楽しさを思い出すきっかけとなった」ということだ。学生時代、私はどちらかというと勉強が好きなタイプであった。抱いた疑問を解決することで味わえる快感が好きで、講義の随所に隠されている「もっと知りたい」と思える知識の片鱗を自ら探し、書籍やインターネットを用いて納得いくまで掘り下げていた。そのようにして得た知識の定着は早く根強いもので、試験の結果や研究成果にも繋がっているという自信が確かにあった。その後、臨床検査技師になるという夢も叶ったが、毎日搬送されてくる大量の検体、次々と降りかかってくる業務に忙殺され、焦りと不安が膨らんでしまっていた。そんな時、上司に「これ、受けてみない?」と勧められたのが本講座だった。正直、初めはこんなに忙しいのに業務以外の学習に手が回るはずがない、と思っていた。しかし、いざ受講してみると、学生時代に好きだったあの「抱いた疑問を解決することで味わえる快感」を再び味わうことができた。それからは本講座が重荷となっている感覚はなく、学んだことを業務に活かしていきたい、と能動的に受講を続けることができた。共通分野では、仕事の役割や心掛けるべき倫理、品質保証や疾患について学んだ。これらは医療人として理解しておくべき内容であるはずだが、理解しているつもりになっていることが多く、まだ一人前の医療人になれていないのだということを思い知らされた。履修確認テストで間違えた問題を確認し、テキストのどこに記載されているか探して、納得した上で正しい答えを導き出せた際には、一人前の医療人に一歩近づけた気がした。専門分野では、血液検査学に関する基礎から実践的な内容まで、幅広く学んだ。ここで気づいたのは、講座で学んだような検査データの変動には1つ1つ理由があるはずなのに、それを業務中に有効活用できていないのではないかということだ。私が行っている主な業務の1つは、機械で測定した検査結果を確認し、再検査の有無を判断して臨床に検査結果を返すことだ。しかし、「この検査項目の測定値が〇〇を上回ったから/下回ったから再検査しよう」といったように、その一連の流れが作業的になってしまっていた。本来であれば、「この患者様はこの処置を行っているから、前回値と比べてこのような検査値の変動が見られたはずだ」といったように、検体の先にいる患者様のことを考える必要があるはずだ。この気づきによって業務に対する向き合い方が変わり、臨床検査技師として検査に携わる誇りを持てるようになった。このように、学びは自信に繋がる。自信を持つことは、患者様一人ひとりに寄り添った高品質な検査の提供に繋がる。だから私は、これからも知識や技術を学び続ける姿勢を忘れず大切にしていきたい。山口渚(検査コース修了)私は当講座のテキストやテストを通じ、業務に直接関係のある検体関連の学びや、私たちのお客様である「患者」や「医療機関」を支えるサービスについて、大変有意義な学びを得ることができました。私自身持病があり、患者の立場で数カ月に一度検査を受けています。以前は、医療機関で検査を受けた際には、「採血」という部分しか見えていませんでした。採取した血液がどのように数値化され、医師から私へフィードバックされるのか、そういった背景は考えたこともありませんでした。しかし、業務を通じて、たくさんの患者さんの多くの検体を目にし、医療は衛生検査所に支えられていると思えるようになりました。患者は医師の言うことを信じるしかありませんが、自身が身を置いている臨床検査の世界のお陰で、誰が見てもわかりやすく可視化された情報から、今の自分を示す指標を得られます。そして、改善するべき目標に向けて、すぐにしかるべき行動に移すことができるなど、生きていく上でとても重要な、社会貢献度の高い仕事をしていると自信を持つことができ、強い帰属意識を持つようになりました。また、私は営業として現在従事し、講座の16部「私たちがお客様から信頼されるために」には特に学びがありました。有形商材(物)を売るのではなく、無形商材(サービス)を売る営業として、問題解決型の営業が、現在の職にぴたりと当てはまる職種になります。「契約を取ること」という結果のみを考えるのではなく、あくまで双方の利益を生むための「ウィンウィン営業」のマインド、その重要性を再認識しました。今、広く顧客は、営業担当者の人格を見て取引を行っていると聞きます。その中で、「愛される営業担当者とは」の項目は切り抜いて携帯すべきではないかと思ってしまう、一種の教訓のような表が存在しました。それは〈愛される営業担当者〉と〈嫌われる営業担当者〉の対比表です。考えてみれば、至極当然のことばかりが羅列されているように思えますが、当然のことのようにこなすことが、営業として必要なスキルなのだと感じました。どの業種においても共通した表現であり、どの啓発本を読んでも基本として記載されている内容です。どこまでその当然を実行できるか、営業担当者の取り組みとして成長していけるかを、今後の大きな課題として取り組みます。患者と直接接触することはありませんが、たった数ミリリットルの血液を運ぶ人、その検体で検査を行い正しい結果を出す人、そして、その結果をまた医療機関へと届ける人、そんな人たちの存在で、医療の現場は今日も絶えず動き続けています。必要不可欠な「縁の下の力持ち」、医療の一端を担う者として、当講座で学んだことをさらに深掘りし続け、今後も成長を続けたいと思います。杉本純一(営業コース修了)株式会社エスアールエル 株式会社早川予防衛生研究所 21■ LABO – 2024.11 レポート レポート
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