3年半授かることができず、かかりつけの産婦人科で不妊治療をしていた。しかしなかなか妊娠には繋がらず、「専門的な治療に進みましょう」と、主治医による紹介で専門のクリニックでの不妊治療が始まった。妊娠をする確約はない。妊娠できるかもしれないし、できないかもしれない。そんな中で受けた検査の1つに、甲状腺の検査がある。受精卵をお腹に戻し、着床率をよくするには、まったく関係なさそうな甲状腺の数値が正常じゃないといけないというのだ。転院してすぐに受けた検査では、甲状腺にまったく問題がなかったため、気にもしていない検査項目だった。つくらいに、顕微授精で頑張った受精卵をお腹に戻すも、残念ながら着床に至らなかった。そこで、改めて甲状腺の検査をしてみると、甲状腺機能低下症になっているとのこと。戻したところで、妊娠できる可能性はとても低いですと告げられ、地元の内分泌科で甲状腺の治療を受けることになった。に変化があるのかと衝撃を受けた。そして、受精卵を移植し、早く妊娠したかった私は、不妊治療がストップになったことにショックしかし、通院しはじめて1年経このままでは、いくら受精卵をたった1年の間に、こんなに体を受けた。焦る気持ちだけが先走った。でも、落ち着いて、落ち着いて。妊娠したいのであれば、優先順位を考えて。今は、甲状腺の治療と検査を第一に。内服薬で治療が可能な状態だった私は、数か月後には、妊娠できる正常値に到達できた。「これでやっと不妊治療に戻れる!」と期待を大にして、甲状腺の結果報告をするため、再度不妊治療クリニックを受診した。不妊治療の医師も納得の数値で、また受精卵移植の日にちを決定することができた。計画通りに移植は終わり、とうとう結果発表のため受診をする日。今回は、受精卵を2つ戻しているから、どうか1つでも着床していてくれと祈りながら、診察室に呼ばれるのを主人と待った。患者が持つ医療用PHSに先生から電話が入り、診察に呼ばれる。そして診察室には笑顔の先生。「おめでとうございます。2個とも着床してます」と!笑みがこぼれるのを抑えきれないほどうれしかった。やっと妊娠できた!と、心の底から喜んだ。甲状腺の病気になり、遠回りはしたけれど、甲状腺の検査をしていなければ妊娠していなかった。甲状腺の異常にしっかりと気づき、焦る気持ちを優しく労り、甲状腺の治療をさせていただいた病院に心から感謝している。お陰さまで、可愛い息子と毎日をにぎやかに過ごし、幸せでいっぱいな生活を送れている。甲状腺の検査と不妊治療令和5年度第24回一般公募エッセイ小島裕佳(38歳/福岡県)「検査がくれたもの」入賞作品紹介努力賞11■ LABO – 2024.1020代後半だった私は、子どもを
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