罹患者数の多いアレルギー疾患の近年の動向をみてみると、気管支ぜん息は小児、成人ともにここ10~20年で急増。小児ぜん息はここ20年で約3倍の増加を示し、国民全体では少なくとも約800万人が気管支ぜん息に罹患していると考えられています。次に、花粉症は世界的に、とくに先進国において増加しています。スギ花粉症を含むアレルギー性鼻炎は、国民の40パーセント以上が罹患していると考えられ、今後も増加することが予想されます。アトピー性皮膚炎の大規模かつ詳細な研究報告はありませんが、国民の約1割が罹患していると考えられています。また、食物アレルギーは、成長とともに食べられるようになる耐性化が生じるため、有病率も年齢により異なります。大規模有病率調査から、乳幼児は5~10パーセント、学童期は1~2パーセントと考えられています。ただし、近年は、全年齢層での重症例の増加、成人での新規発症例が目立っています。私たちの身体には、細菌・ウイルス・寄生虫などの感染性微生物や異物などか■■■■■■■■ー■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ー■■■■■■■■■■■■■■■■■■3■ LABO – 2024.09賢く知って 正しく対処!病気とけんさ 気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーなど、アレルギー疾患の蔓延が止まりません。 患者数の多さ、急激な症状の悪化を繰り返すものがある、生活の質が著しく損なわれる場合が多いなど、アレルギー疾患が国民生活に多大な影響を及ぼしている現状。さらに、アレルギー疾患は生活環境と深い関係があり、複合的な要因によって発生し、かつ重症化することから、国も、アレルギー疾患対策の充実をはかるため、2014年、『アレルギー疾患対策基本法』を制定。総合的な対策を推進しています。 いまや国民病ともいえるアレルギー疾患。アレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)を特定する検査は、さまざまな症状をコントロールするための基本です。検査でアレルゲンを特定症状をコントロールする第一歩「アレルギー疾患」
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