Labo_No.547
6/16

 【閉塞隅角緑内障の治療】制御の「自動視野計」が使われます。画面上のさまざまな位置に光が点滅する画面をのぞきこみ、点滅を知覚できるかどうかを調べて、どこに視野の欠損があるかを探ります。検査を受ける人は、小さな光が見えたらボタンを押します。視野検査は、そのときの検査を受ける人の気持ちや体調が反映されやすい検査です。落ち込んでいたり、緊張したりしていると検査は上手くいきません。ボタンを押せない(光を感じない)時間が多くなると不安になり、検査中に眼がキョロキョロ動く人がいます。眼を動かすと検査結果がよく出てしまいます。視野検査は正常な人でも見えない光を提示したりして検査するので、焦らず正直に受けるようにしましょう。また、視野検査をすると、中心の少し脇に小円形の見えない部分が検出されますが、これは「マリオット盲点」といい、だれにでも存在するので心配ありません。緑内障では、それ以外の部分に見えづらい部分ができています。緑内障のタイプを診断するために、隅角や虹こうい彩さなど目のさまざまな部分を観察することも重要です。細隙灯顕微鏡検査は、暗い部屋のなかで目に細い光(スリット光)を当て、顕微鏡で拡大しながら各部位を細かくみていく検査です(図表6)。角膜、結膜、前房、虹彩、水晶体などから、補助レンズを併用して隅角や眼底まで、眼球のほぼ全体をくまなく観察できます。眼科診療において、もっとも基本となる重要な検査といえます。さらに、細隙灯顕微鏡に眼圧計をセットして、眼圧の測定に用いられることもあります。緑内障は、眼圧などにより視神経が傷害される病気です。減ってしまった神経を元に戻すことはできませんから、視野を広げることはできません。視神経をそれ以上減らさないように努めることが、緑内障治療の原則となります。治療法は、緑内障のタイプによって異なります。開放隅角緑内障では、眼圧を下げるためにまず点眼薬を使います。正常眼圧緑内障の場合も、眼圧を下げることにより視神経が減りにくくなることがわかっているので、点眼薬により眼圧を下げるようにします。その際には、眼圧を正常範囲に保つのではなく、何も治療しないときの眼圧(ベースライン眼圧)から治療によりどの程度下げられるかが重要なポイントとなります。眼圧を下げる点眼薬には、プロスタグランジン関連薬、β受容体遮断薬など、多くの種類があります(図表7)。点眼薬の作用は、一人ひとりで異なるので、1種類の点眼薬から始めて、眼圧を下げる効果や副作用をみながら、追加したり変更したりしていきます。点眼薬で十分に眼圧が下がらない場合や、眼圧がある程度下がっていても視野障害などが進行していく場合には、レーザー治療(隅角光凝固術)や手術を行うこともあります。閉塞隅角緑内障では、急激に眼圧が上がる急性発作を予防することがまず重要です。急性発作の予防のために、虹彩(黒目のなかの茶目の部分)にレーザーで小さな穴を開けて隅角が閉塞しにくくするレーザー虹彩切開術などを行います。房水の流れ出る線維柱帯を開いたり、別な房水の出口をつくったりする手術を行うこともあります。また、水晶体を厚みが薄い眼内レンズに交換する白内障の手術も有効です。眼球全体をくまなく観察「細隙灯顕微鏡検査」点眼薬、レーザー、手術の3本柱タイプで異なる緑内障の治療法 6 【開放隅角緑内障の治療】2024.08 – LABO ■房水の排出を促す薬房水の産生をおさえる薬2つの作用をあわせもつ薬作 用種 類プロスタグランジン関連薬 α ₁遮断薬副交感神経刺激薬 ROCK阻害薬 β遮断薬 炭酸脱水酵素阻害薬 交感神経刺激薬 α ₁β遮断薬 α ₂刺激薬 一 般 名ラタノプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト、ピマトプロスト、ウノプロストンプナゾシンピロカルピンリパスジルモチロール、カルテオロール、レボブノロール、ベタキソロールドルゾラミド、プリンゾラミドピバレフリンニプラジロールアプラクロニジン、プリモニジン図表7 緑内障の点眼薬

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る