Labo_No.547
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視野検査の3つが基本です。眼圧が高くない正常眼圧緑内障も多いのですが、緑内障のタイプにより治療方針が異なるため、眼圧検査は欠かせません。健診などでは、圧縮した空気を角膜に直接吹きつけて、角膜の凹み具合をみる「空気眼圧計」が一般的ですが、正確な測定には「圧平式眼圧計(ゴールドマン眼圧計)」という装置を用います(図表3)。角膜に小さなチップを押し当てて、チップと角膜の接点が一定の面積になる圧力を眼圧とします。チップを当てる前に点眼麻酔を行うので、痛みは感じません。緑内障では、目と脳をつなぐ視神経が徐々に減っていきます。視神経が減ると、目の奥にある視神経乳頭の中心部の凹み(陥凹)が大きくなるので、医師が眼底をしっかり観察することで緑内障かどうかを診断します。水晶体や硝しょ子うし体たいは透明なため、光を当てると目の奥まで見通すことができます。眼底検査では、検査前に瞳孔を広げる散瞳薬を点眼し、目に光を当てながら「倒像鏡」という検眼鏡で眼底を拡大。医師が自分の目で直接観察します(図表4)。近年は、目の奥の網膜や視神経乳頭の断面を見ることができる三次元画像解析装置(OCTなど)を用いることで、視神経乳頭のごくわずかな凹みや網膜の特定の層が薄くなっていることなどがわかるので、ごく初期の緑内障を診断できるようになっています。緑内障の診断の原則は、眼底検査で視神経が減った場所があり、それにほぼ一致して視野の異常がみられる場合に、緑内障と診断されます。緑内障では、視野のなかに見えづらい部分が少しずつ広がってきます。しかし、見えづらい部分がかなり大きくなるまで、本人は自覚できないことがほとんどです。そのため、眼底検査などで緑内障が疑われた場合には、専用の視野検査装置を使った視野検査を受ける必要があります(図表5)。まっすぐ前を見た状態で、上下左右どの範囲が見えているかを調べます。指標を動かして見える範囲を調べる「動的視野検査法」と、標識の明るさを変化させて網膜の感度をはかる「静的視野検査法」があります。「静的視野検査法」は主に早期診断や経過観察に、「動的視野検査法」は中期以降の重い緑内障で周辺部に広がった欠損を検出するのに適しています。緑内障の早期診断には、コンピュータ医師の目で「視神経乳頭」を観察診断の基準となる「眼底検査」自覚しにくい視野の欠損部を探るコンピュータ制御の「視野検査」5■ LABO – 2024.08画面をのぞいて、各所で点滅する光が見えたらボタンを押す眼球の細部を10~16倍まで拡大して観察する点眼麻酔をした後、角膜にチップを押し当てる散瞳薬を点眼し、目に光を当てながら検眼鏡 で医師が直接眼底を観祭凸レンズ倒像鏡図表5 視野検査 (自動視野計)図表6 細隙灯顕微鏡検査図表3 眼圧検査(圧平式眼圧計)図表4 眼底檢査正常な視野 黒い部分がマリオット盲点緑内障患者の視野 (初期)  マ リ オ ッ ト 盲 点 以 外 に 見 え に く い 部 分 (黒 い 部 分 ) が で き て い る

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