緑内障とは、視神経がなんらかの原因でダメージを受け、じわじわと視野が欠けていく病気です。私たちが「ものを見る」ことができるしくみは、まず、目のなかに入った光が、目の奥の網膜の上で像を結びます。その光により網膜の細胞から電気信号が発生し、視神経を通って脳へ伝わり、脳で「見えた」と感じることができます。視神経は、健康な目では、100万本以上の神経線維が集まって目と脳をつないでいます。通常、100万本以上の神経線維の束から、徐々に線維が減っていき、見える範囲(視野)のうち、減った線維が担当していた部分が見えづらくなっていきます。緑内障の原因は特定されていません。目の硬さである「眼圧」が高い状態が続き、目の奥の視神経が障害されることなどが考えられています。「眼圧」とは、目のなかの圧力、つまり目の硬さをあらわしています。目のなかでは一定量の房水がつくられ、それと同じ量が目から流れ出ていくことで、眼圧は一定に保たれています。房水は透明なうすさまざまな原因で視神経が損傷され視野が減っていく病気視神経にダメージを与える原因は「房ぼい水」の流れの滞りなど3■ LABO – 2024.08賢く知って 正しく対処!病気とけんさ つねに日本人の失明原因の上位を占める緑内障は、視神経がダメージを受けて視覚情報が脳に上手く伝わらなくなる病気です。2000~2002年に行われた大規模な緑内障疫学調査(多治見研究)では、40歳以上の日本人における緑内障の有病率は5.0パーセントにのぼりました。 加齢とともに徐々に進行する非可逆的な病気ですが、自覚症状が乏しいため多くの人が気づいていません。同調査では、89パーセントもの人が、たまたまこの調査に参加したことで新規に緑内障が発見されました。 人生100年時代、視覚の質(quality of vision:QOV)は生活の質(quality of life:QOL)に直結します。「目の健康」にも留意して、40歳を過ぎたら眼科の検査を受けたいものです。早期の検査と治療の継続が決め手目の生活習慣病「緑内障」
元のページ ../index.html#3