Labo_No.546
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社会状況に合わせて制度の改正が続く介護保険財源の不足と介護人材の不足が課題介護保険制度はこうした社会状況を踏まえて3年ごとに見直し、改正が実施されています。直近の大きな改正のポイントを挙げます。●2017年改正①高所得者層の自己負担額が3割へ②「日常的な医学管理」「看取り・ターミナル」などの機能と「生活施設」としての機能を兼ね備えた「介護医療院」の創設③介護保険と障害福祉制度を統合した共生型サービスの創設④保険者機能の強化(各市区町村が自立支援、重度化防止に向けて取り組む仕組みの制度化)●2021年改正①市区町村の包括的な支援体制の構築を支援②医療・介護のデータ基盤の整備を推進そして2024年の改正は、①介護保険料の変更国が定める第1号被保険者(市区町村に住民登録がある65歳以上の者)の保険料は所得により、9段階にわかれていましたが、13段階に細分化され、高所得者ほど負担が増え、低所得者は負担を抑えられる仕組みに②介護サービス事業者の財務状況の公表が義務化③特養など介護保険施設の居住費の引き上げ以上が大きなポイントですが、それぞれ施行時期は異なります。介護保険制度は現在、「介護保険財源の不足」と「介護人材の不足」という2つの大きな課題を抱えています。介護保険制度はこれまで団塊の世代が75歳以上となる2025年をターゲットに改正されてきましたが、現在は団塊ジュニアが65歳以上となり高齢人口がピークを迎える2040年をターゲットにしています。2040年に向けての備えとしては次の3つの柱が掲げられています。①介護予防・健康づくりの推進、②地域包括ケアシステムの推進、③介護現場の革新です。これらを保険者機能の強化やICT基盤の整備が支える形で進め、今後も介護保険制度を持続可能とするために制度の見直しが検討されます(図表4)。今後の介護保険制度の改正については「介護保険料の負担年齢の引き下げ」「老健など多床室の室料の全額自己負担」「ケアプラン(居宅介護支援)作成における自己負担の導入」「自己負担2、3割の対象者の拡大」「要介護1~2の介護サービスを総合事業に移行」などが検討されています。利用者にとっては、今後も自己負担が大きくなることが見込まれます。介護保険制度を持続していくには、財源の確保や給付の伸びを抑える工夫が不可欠といえるでしょう。142024.07 – LABO ■*「介護保険制度の見直しに関する意見」(令和元年12月27日社会保障審議会介護保険部会)より抜粋・一部改変社会福祉制度改革介護保険制度改革2 地域包括ケアシステムの推進〜地域特性等に応じた介護基盤整備・質の高いケアマネジメント〜保険者機能の強化①相談支援②参加支援③地域づくりに向けた支援 〜一体的に実施するための体制整備〜2 社会福祉連携推進法人の創設社会福祉法人の経営基盤強化、連携強化により、人材確保や地域貢献活動を後押し★参考資料総務省統計局「人口推計」厚生労働省「我が国の人口について」「介護保険の解説」「介護保険制度の概要」「介護保険制度をめぐる最近の動向について」「介護分野の最近の動向について」「介護保険事業状況報告」「給付と負担について」内閣府「令和5年版高齢社会白書」社会福祉・介護保険制度改革1 包括的な支援体制の構築1 介護予防・地域づくりの推進制度の持続可能性の確保のための見直しを不断に実施〜健康寿命の延伸〜/「共生」・「予防」を両輪とする認知症施策の総合的推進〜人材確保・生産性の向上〜3 介護現場の革新データ利活用のためのICT基盤整備  図表4 地域共生社会の実現と2040年への備えMedical Trendメディカル・トレンド

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