Labo_No.546
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導入されてから24年定着した介護保険制度導入の背景は人口の高齢化と三世代世帯の急激な減少社会保険には、医療保険、年金保険、雇用保険、労働災害保険がありますが、2000年に5番目の社会保険としてスタートしたのが、介護保険です。保険者として介護保険に加入し、65歳以上になると市区町村が実施する要介護認定で、介護が必要だと認定された場合に、介護保険サービスを受けられます。40歳から64歳の人でも、末期がんや関節リウマチなど特定疾病により介護が必要と認定されたときには、介護保険サービスを受けることができます。介護保険サービスの種類は、大きく分けると図表1のようになります。要介護認定されると、これらのサービスを受けたときの費用について、市区町村が一定割合を負担します。この資金は、被保険者が支払っている保険料や税金などによってまかなわれます。そもそもなぜ、介護保険制度はできたのでしょうか。大きな理由の1つが高齢化の進展です。日本人の平均寿命は1980年には男性73歳、女性79歳だったのが、2000年には男性78歳、女性は85歳になりました。高齢者人口についてみると、1980年の65歳以上は1065万人で全人口の9・1%でしたが、2000年には2204万人で全人口の17・4%に上昇しています。高齢者数の増加は、介護を必要とする人の増加でもあります(図表2)。介護保険制度が導入されたもう1つの大きな理由が、三世代世帯の減少と単身者世帯の増加です。1980年代ごろまで、高齢者は子ども世代と同居するのが一般的で、65歳以上を含む世帯数は、約半数を占めていました。つまり、介護が必要になっても家族による介護が可能でした。ところが、2000年には65歳以上を含む世帯数は27%にまで減少しています。それによって高齢夫婦世帯、高齢単身世帯が増加し、家族による介護が難しくなってきたのです。認知症や寝たきりで介護が必要な人が増えているにもかかわらず、家族が介護できないケースも増えたことから入院が長期化し、医療費を圧迫するという問題も起きていました。平均寿命の延びや高齢化率の上昇、三世代世帯の急激な減少といった背景があり、介護保険制度の導入が検討されました。モデルとなったのは、ドイツの介護保険制度で、1997年に法案が通り2000年4月から実施されています。12②施設サービス・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院③地域密着型サービス・訪問通所型サービス(小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護)護、訪問看護、訪問リハビリ)・通所サービス(通所介護、通所リハビリ)・短期入所サービス(短期入所生活介護、短期入所療養介護)・認知症対応型サービス(認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護)・施設・特定施設型サービス(地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)2024.07 – LABO ■2024年4月12日、2023年10月1日時点の「人口推計」が発表され、それによると、日本の総人口は1億2435万2千人で、13年連続で減少しています。一方75歳以上の人は初めて2千万人を超え、過去最高となっています。そうしたなかで、介護費用は約20年で約4倍に急増し、今後も増えることが見込まれます。介護ニーズの増大、介護保険制度を支える働き手の不足など、避けられない課題を紹介します。    40歳以上になると、国民一律で被図表1 介護保険 サービスの種類①居宅介護サービス・訪問サービス(訪問介護、訪問入浴介75歳以上が初の2千万人超え。介護の総費用は2000年当初の約4倍にふくらむMedical Trendメディカル・トレンド

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