Labo_No.545
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たとえ少量でも発症の危険性が高まる病気もあるお酒とうまく付き合うための5つのポイント病、肝疾患、がんなどを発症する危険性が高まります。行動面のリスク高所での作業による事故・ケガや他人とのトラブル、火気を伴う器具類の扱いによる事故などを起こす危険性が高まります。さらにガイドラインの注目すべき点は、研究結果に基づいて病気ごとに発症リスクが高まる飲酒量について示していることです(表1)。以前から厚生労働省「健康日本21」で日本人の「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールで約20gとされてきました。純アルコール量は飲んだお酒の量とアルコール度数によって把握することができます。摂取した純アルコール量の計算の仕方摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0・8(アルコールの比重)=摂取した純アルコール量(g)例えばアルコール度数5%の500ml缶ビールを飲んだ場合、「500(ml)×0・05×0・8=20g20g」となり、摂取した純アルコール量はなります。つまり1日500ml缶のビール1缶が節度ある適度な飲酒とされてきたのです。しかし飲酒ガイドラインでは、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中の場合はたとえ少量であっても飲酒自体が発症のリスクを上げることが示されています。また、女性の脳梗塞は1日11g(週g)、男女の大腸がんや男性の出血性脳卒中、前立腺がん、女性の胃がんや肝がんの場合は1日20g程度(週150g)でも飲酒を続けると発症の可能性が高まることが示されています。つまり、節度ある適度な飲酒量だったとしても、病気によってはリスクを高めることがあるというわけです。さらに飲酒の影響を受けやすい体質の場合は、より少ない飲酒量を意識する必要があります。飲酒ガイドラインでは、お酒との付き合い方についても触れています。①自らの飲酒状況などを把握する自分の状態に応じた飲酒により、リスクを減らすことが重要。②あらかじめ量を決めて飲酒する とけられます。量を定めることで過度な飲酒を避③飲酒前または飲酒中に食事をとる血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があります。④飲酒の合間に水を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする飲む量に占める純アルコールの量を減らす効果があります。⑤1週間のうち、飲酒しない日を設ける毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります。このほか、避けるべきこととして一時多量飲酒(1回の飲酒で純アルコール摂取量飲酒の強要、飲酒中や飲酒後の運動や入浴といったことなどが挙げられています。飲酒ガイドラインで示された飲酒量(純アルコール量)などは、すべて日本人に対する研究に基づいています。健康に配慮した飲酒量や飲酒の仕方についての具体的でわかりやすい指標として、今後さまざまな場面で活用されることが期待できます。以上)、他人への 1   2   3    4    5   6   7   8   9  10  11 12注:13■ LABO – 2024.06疾 病 名脳卒中(出血性)脳卒中(脳■塞)虚血性心疾患・心筋■塞高血圧胃がん肺がん(喫煙者)肺がん(非喫煙者)大腸がん食道がん肝がん前立腺がん(進行がん)乳がん飲酒量(純アルコール量(g))男 性研究結果  (参考) (20g/日)150g/週(40g/日)300g/週※0g <0g <300g/週関連なし150g/週0g <450g/週150g/週データなし(40g/日)(20g/日)(60g/ 日)(20g/日)女 性研究結果  (参考) 0g <75g/週 ※0g <150g/週データなしデータなし150g/週データなし150g/週データなし100g/週(11g/日)(20g/日)(20g/日)(20g/ 日)(14g/日)上記の飲酒量(純アルコール量)の数値のうち、「研究結果」の欄の数値については、参考文献に基づく研究結果によるもので、これ以上の飲酒をすると発症等のリスクが上がると考えられるもの。「参考」の欄にある数値については、研究結果の数値を元に、仮に7で除した場合の参考値(概数)。「0g<」は少しでも飲酒をするとリスクが上がると考えられるもの。「関連なし」は飲酒量(純アルコール量)とは関連がないと考えられるもの。「データなし」は飲酒量(純アルコール量)と関連する研究データがないもの。「※」は現在研究中のもの。なお、これらの飲酒量(純アルコール量)については、すべて日本人に対する研究に基づくものとなります。★参考資料厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」「みんなに知ってほしい飲酒のこと」60g75g)、乳がんは1日14g(週100日本酒度数15% 量 180 ml焼酎度数25% 量 110 mlビール度数5% 量 500 mlウイスキー度数43% 量 60 mlワイン度数14% 量 180 ml缶チューハイ度数 5% 量 約500 ml度数 7% 量 約350 ml表1 わが国における疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)表2 お酒の種類別純アルコール20gのおおよその量Medical Trendメディカル・トレンド

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