Labo_No.544
7/16

■LABO – 2024.05定期的に通院しています。甲状腺を摘星 出しているので、甲状腺ホルモン薬を飲み続けなければならなくて。特に妊活中から妊娠中(取材時は妊娠7カ月)はこまめに受診しています。――バセドウ病について啓発活動をされていますが、その思いは?星 現役時代に病気を公表してから、SNSを通じて相談を受けたり、自分も同じ病気なので勇気をもらっているといったメッセージをいただいたりすることがありました。バセドウ病は女性に多く決して珍しい病気ではありませんが、そのわりに正しく理解されていないと感じています。私が病気について話すことで、少しでも理解が進めばと思っています。――2023年からは全盲のパラ競泳選手、木村敬一選手のフォームコーチをされています。お互いに初メダルがロンドン五輪、パ星 ラリンピックで、同い年ということもあって、いい友人関係でした。昨年、バタフライの泳ぎを変えたいからフォームを見てほしいと連絡があり、相談されました。私は指導経験がないので悩みましたが、水中での泳ぎの映像を見せてもらったら、改善できそうな点がいくつか見つかったので、引き受けることにしました。――ジェスチャーで表現できないから、指導も工夫が必要ですね。すべて言語化しないといけないので、星 最初は大変でした。今は言葉のレパートリーが増えて、自分の強みにもなってきていると感じます。そもそも動きが難しいバタフライを、視覚の情報なしにどうやって習得したのかと考えるとすごいことですよね。いい刺激を受けているので、現役時代に一緒に練習したかったなと思いますね。――木村選手は今年のパリ五輪の代表に選ばれています。目標は?星 木村くんは「自己ベストを更新したい」と言っているので、同じ気持ちです。フォームを改善して、現時点ではまだそれが十分タイムに反映できていないところがあります。あと4カ月で自己ベストを更新できれば、連覇も見えてくると思います。――星さんご自身の今後の目標は?木村くんをサポートするようになっ星 て、もっとパラ水泳についてみなさんに知っていただきたいという思いが強くなりました。そのための発信を続けていきたいですし、オリ競技、パラ競技の選手間の交流も積極的にすすめたいです。バセドウ病についても競泳選手としてだ7 けでなく、妊娠出産を経て経験できることもあると思うので、私の発信が悩んでいる方の助けになるといいなと思っています。病気を克服して、大好きな水泳が続けられたこと、本当に幸せでした!2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪の銅メダル『明日に向かって』星奈津美=著 ベースボール・マガジン社=発行病気に負けず、自分の道を究めた星奈津美氏のバタフライの軌跡が記されている2008年 北京オリンピック 10位2011年 世界水泳選手権 4位2012年 ロンドンオリンピック 銅メダル2015年 世界水泳選手権 金メダル    (競泳女子日本選手として大会史上初)2016年 リオデジャネイロオリンピック 銅メダルNatsumi Hoshi’s DATA

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る