Labo_No.544
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ロンドン五輪とリオデジャネイロ五輪、2大会連続で競泳バタフライのメダリストとなった星奈津美さん。世界を舞台に戦う一方で、16歳のときからバセドウ病という病とも付き合ってきました。病気とともにあった競技生活や現在の活動について語っていただきました。タイムが伸び盛りの時期にバセドウ病を発症――星さんは2006年、高校1年生のときにインターハイで優勝、その数カ月後にバセドウ病(甲状腺ホルモンを過剰に産生する病気で自己免疫疾患の1つ)と診断されています。どのような症状があったのですか?星 競泳の場合、冬は合宿でかなり追い込んだ練習をするのですが、とにかく疲れがとれなくて。そこまで強度が高い練習ではなくても、心拍数がすごく上がってしまったり、陸上トレーニングで尋常じゃない汗が出たり……。疲れがとれないので、それまでのようなタイムも出なくなって、コーチにも相談していたのですが、「ちょっと長引いているね」と言われて、合宿を途中で切り上げることになったんです。――自宅に帰って病院へ?星 甲状腺疾患専門の病院を受診しました。母にも体調のことは話していたのですが、実は母も橋本病(甲状腺ホルモンが少なくなる病気で、自己免疫疾患の1つ)を患っていたため「もしかしたら甲状腺疾患かも」ということになって。――診断されるまで、どのくらい体調不良が続いていましたか?星 1、2カ月だと思います。振り返ってみると、学校の4階にある教室まで階段で上がるだけで息切れしたり、レース前なのにすでに息が上がっていたりとか。当時は緊張のせいだと思っていましたが、あとから考えると病気のせいだったのかもしれないと感じる症状はいろいろありました。――診断されたときの気持ちは?星 まず先生に、水泳は続けられますか?と聞きました。インターハイで優勝したあとで、記録もどんどん伸びて楽しい時期だったので。ジュニアの日本代表にもなって「いつかオリンピックに出たい」という思いが芽生えた時期でもありました。だからこそ、競泳は続けられるのかということが、一番気になることでした。――先生の回答は?まだ若いので手術(甲状腺切除術)や星 放射線治療(放射線ヨウ素内用療法)はす泳げる幸せを知り、適度な休養がとれた。病気になった私はツイていた! 4水泳を始めてすぐの2歳になるころ。真ん中の一番小さい子が星さん。両隣は同学年の子です。幼少期は「めっちゃ小さかったらしいです!」。後ろはプールの先生2024.05 – LABO■選手生命を脅かす難病を克服でき、メダルも獲得できました!

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