甲状腺はのどぼとけの下あたりにある、蝶が羽を広げたような形をした重さヨウ素を原料にして、甲状腺ホルモンをつくる働きがあります。小さな臓器ですが、ホルモンを産生する臓器としては最も大きい臓器なのです(4ページ、図表1)。甲状腺ホルモンは「人を元気にするホルモン」といわれています。たとえば、細胞の新陳代謝を活発にする、交感神経を刺激して心臓の働きや体温を高めたり、発汗を促したりする、胎児や子どもの成長・発達を促進するというような、人が生きていくために欠かせない働きを担っています。この甲状腺に何らかの異常が起きている人は多く、日本人の13~25人に1人と推定されています。ところが、実際は症状が多様なために、甲状腺の専門医以外のさまざまな診療科にかかっていたり、症状があいまいなために医療機関を受診せず、加齢のせいと見過ごされていたりするケースが少なくありません。正しい診断に行きつかないことが多いのは、一般的な健康診断の検査項目の中に甲状腺ホルモンがなく、また、人間ドックでもオプション検査となっていることも関係しています。正しい診断と適甲状腺ホルモンには代謝を活発にする作用がある15gほどの臓器です。食べ物に含まれる3■ LABO – 2024.04賢く知って 正しく対処!病気とけんさ 甲状腺の病気ではバセドウ病がよく知られていますが、ほかにもいろいろな病気があることはあまり認知されていません。日本では、500万~1000万人に甲状腺の病気があると推定されています。女性に多い病気ですが、男性にも起こるので注意が必要です。 甲状腺の病気の多くは、命にかかわるような危険なものではありません。ただし、適切な治療を受けなければ、病状が進んだり、生活の質が低下したりするおそれがあります。 ほかの病気と間違われやすく、また、歳のせいにしてしまうことも多いことから、いかに正しい診断につなげるかが大きなポイントです。症状の多様さ、あいまいさにより正しい診断を受けていない人が多い「甲状腺の病気」
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