謹んで新年の御挨拶を申し上げます。年頭に当たり、日頃より医療行政に対して多大なる御理解、御協力をいただいていることに対し、深く御礼申し上げます。まず、新型コロナウイルスへの対応については、2020年以降、医療現場での懸命な患者の治療、ワクチン接種、保健所等での感染拡大防止の取組など、保健・医療従事者の皆様におかれましては多大なるご尽力をいただき、心より感謝申し上げます。新型コロナウイルス感染症は5類に移行したことを踏まえ、厚生労働省では、通常医療との両立を更に強化するとともに、冬の感染拡大に備えた重点的・集中的な支援を行いながら、通常の医療提供体制への移行を段階的に進めているところです。また、これまでのコロナ対応で得られた知見を踏まえ、次の感染症危機への対応に万全を期すため、今年4月施行の改正感染症法に基づき、都道府県と医療機関との医療措置協定の締結に向けた協議が行われているところと存じます。昨年11月には、関係団体と共同で、「ポストコロナ医療体制充実宣言」を取りまとめ、新興感染症への発生に平時から備えるための取組などを集中的に進めていくことを発表しました。引き続き、都道府県や関係団体の皆様とともに、次の感染症危機に備えた体制構築を進めてまいります。さらに、今年4月からは、都道府県において、第8次医療計画がスタートする年となります。医療計画をより一層有効に機能させつつ、地域医療構想の達成に向けた取組を進めていただけるよう、国としても必要な支援を行ってまいります。また、団塊の世代全員が後期高齢者となる2025年が目前に迫る中、地域医療構想の推進は、コロナ対応を通じて顕在化した、地域における医療機関間の役割分担等の課題への対応を進める上でも重要な課題です。引き続き、都道府県や関係者の皆様のご意見を伺いながら、地域医療構想を着実に進めるとともに、こうした課題を含め、中長期的課題について整理し、新たな地域医療構想の策定に向けた検討を進めてまいります。また、地域によって大きく異なる人口構造の変化に対応して、「治す医療」 から「治し、支える医療」を実現し、地域ごとに必要な医療を必要なときに受けられる体制を確保していくことが重要です。昨年5月には、地域において必要なかかりつけ医機能を確保するための改正医療法が成立しました。かかりつけ医機能報告制度等の施行に向け、検討会においてご議論いただいているところであり、2025年4月の施行に向けて検討を進めてまいります。医師の時間外・休日労働上限規制は、医療現場への影響も大きく丁寧な準備が必要です。4月からの円滑な施行に向けて、大学病院を含む医療機関への個別支援、都道府県や医療勤務環境改善支援センター(勤改センター)の取組強化への支援、地域医療介護総合確保基金の活用等を行いつつ、上限規制の適用開始後も、更なる医師の働き方改革の推進と地域医療確保の取組を一体的に進めてまいります。本年も医療行政をめぐる課題は山積しておりますが、医療を受ける国民の皆様の立場に立ち、関係者の皆様のご意見を丁寧に伺いながら、施策に取り組んでまいります。皆様の一層の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。皆様にとって実り多き一年となることを心より祈念申し上げて、新年の御挨拶といたします。令和6年 年頭所感3■ LABO – 2024.01厚生労働省医政局長 浅沼 一成
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