私たちの研究プロジェクトが、健康で豊かな生活のための礎になってほしい。医学部との連携から一般女性を対象とした研究活動に究の道へ。成功を収めるためのもっとも重要な要素としてグリッド(努力・忍耐力・情熱)が注目されていますが、室伏由佳さんにとって、まさに研究者と自身との相性は抜群でした。その大きな成果の一つが『痩せた若い女性の健康課題』をテーマとした教育・研究活動です。一体、どのような研究結果が得られたのでしょうか。――先生は『痩せた若い女性の健康課題』をテーマとした教育・研究活動において、各方面から注目を集めていらっしゃいます。まず、トップアスリートから研究者の道に進まれた経緯をうかがいたいと思います。室伏 私は選手時代、試合で緊張してベストのパフォーマンス発揮ができなかった苦い経験から、心の強化に興味を持ち、ミズノに在籍する一方で、中京大学大学院に進みました。元々私が専門としていたのは「スポーツ心理学」でした。その後2012年に現役を引退、さらに14年にミズノを退職し、学位を取るための本格的な研究をしたいという思いから順天堂大学スポーツ健康科学研究科(博士後期課程)に入り(16年)、テーマとしたのが『アンチ・ドーピング教育』。このテーマは心理的な背景のある研究領域ですし、私も出場したアテネオリンピック(04年)では、男子ハンマー投で金メダルを獲得した選手がドーピングによって失格処分となり、その後、兄(室伏広治氏)が繰り上がりで優勝したという騒動を目の当たりにしたこともあって、ずっと関心を持ち続けていたテーマでした。――もう20年も前になるんですね。そして教育・研究の道へ?はい。19年3月に博士課程を修了室伏 し、同年4月、順天堂大学スポーツ健康科学部に着任しました。42歳のときです。『アンチ・ドーピング教育』については、メイン研究として取り組んでいますが、一方で、本校では医学部とスポーツ健康科学部とが共同で研究をするプロジェクトが活発に行われており、そこで出合ったテーマが『痩せた若い女性の健康課題』でした。――『痩せた若い女性~』をテーマにされたきっかけは何だったのでしょうか?糖尿病の専門医である医学部内分泌室伏 代謝学・田村好史先生らの「食事量と運動量が少ない若い痩せた女性は、太った人と同様に糖尿病のリスクが高い」という研究報告でした。そこで、スポーツの領域から貢献できることはないかと、アスレティックトレーナーでもある本学の門屋悠香先生とともに、女性に向けた運動プログラムをつくって映像配信。次の段階として「痩せ4高校では投げる種目に転向し、重信氏の指導を受ける(1993年)「中学時代は100mを専門にしていました」(1991年、中学2年時)順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科准教授として教鞭をとる研究テーマは『痩せた若い女性の健康課題』2023.11 – LABO■スポーツ領域からの健康課題に貢献したいと考えています!35歳で現役を引退。一つのことに粘り強く、ひたすら努力するタイプだったという持ち味を生かし教育・研
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