我が家には︑フ■ン・ギールケ病の娘がおります︒毎月大学病院に通い︑血液検査の結果を見ては一喜一憂しておりました︒しかし︑どの項目が何を表しているかはわかっていても︑その数値がどのくらい上がればどうなるのか︑また︑どの項目が悪ければ他のどの項目にどう影響するのかまではわかりませんでした︒しかし体は単体ではなく繋がっています︒今回の勉強を進めていく中で︑その繋がりが理解でき︑体をより深く理解できるようになりました︒また︑今回の勉強を進めている最中に︑娘が生体肝臓移植の手術を受け︑私は人生初のドナーとなりました︒すると︑今まで悪かった項目が手術をした瞬間によくなり︑それに連動して︑一見繋がりのなさそうな項目まで︑次々と数値が改善していきました︒そして︑自分自身は今までまったく問題のなかった項目の数値が悪くなっていました︒それにより︑どの数値が悪くなるとどのように体調が変化するのかも少しずつわかるようになってきました︒それからは︑仕事においても︑ただ検査項目を見るのではなく︑その人がどんな体調なのだろうということにまで想いを馳せることができるようにもなりました︒移植をすることで娘の病気そのものが完治するわけではありませんが︑数値1つで食べられなかったものが食べられるようになる︑できなかったことができるようになる︒たっ株式会社エスアールエル 廣渡信樹︵検査コース修了︶た数値1つで︑好きなものが食べられて喜ぶ娘の笑顔を目の当たりにした瞬間の感動は︑今でも忘れません︒一方︑どこかがよくてもどこかに問題が出るということも学びました︒やはりこれこそが生身の人間だと︑とてもおもしろくさえなりました︒何事も数値で図ってはいけないと言われる世の中︒その中で︑絶対に正確に測らなければならない数値がある︒そしてその数値1つで︑1人の人間の人生が180度変わるのだと痛感しました︒はじめは仕事のためとして勉強をしていましたが︑勉強を進めていく中で︑﹁仕事のための勉強﹂としてだけでなく︑﹁娘のための勉強﹂にもなり︑とても興味深く学ばせていただきました︒自分の従事している仕事が確かに娘のためになっている︑そしてそれはまた︑他の誰かのためにもなっていくのだと実感いたしました︒検査項目1つで︑その人の抱えている持病や健康状態がわかります︒たかが血液1本で︑患者だけでなくその向こう側に目を向けることが大事なんだと学ばせていただきました︒私たちは医者ではないので直接患者さんを治してあげることはできません︒しかし︑医者が患者さんを治すためには私たちの正確な検査が不可欠です︒医者と同じく私たちも︑苦しむ患者さんの命を守るという使命を胸に︑これからも勉強を続けていきたいと強く思いました︒今回営業標準講座を受講して考えさせられたのは︑﹁すべては患者様のために﹂ということで︑強く私の心の中に残っております︒今まで仕事を通して医療のお手伝いをしてきたという思いは確かにありますが︑1枚の依頼書を通して患者様を感じ︑またその患者様を救おうとする医師や看護師のお手伝いをしているということを︑今回受講して改めて強く感じました︒また中でも考えさせられたのは︑﹁提供する側が安全安心を謳っても︑受け取る側が納得を感じない限りは︑良い評価を得ることができない﹂︒そして︑﹁正確な検査データも重要であるが︑営業担当者の応対も非常に重要である﹂︒この2つの言葉は︑大変胸に刺さりました︒医師や看護師から私たち営業が信頼されていなければ︑お届けしたデータの信頼性も損ねてしまい︑治療方針や処方にも影響が出て︑患者様の健康に害が及んでしまう︒想像しただけで恐ろしいことだと思います︒ただ漠然と検体を回収し︑それを検査し︑報告書をお届けする︒それだけでは私たちの仕事の性質上︑とても信頼を得ることはできないでし■う︒では患者様に一番近い医師︑看護師から︑どうしたら信頼を得られるかを考えたとき︑営業担当の普段からの仕事に対する姿勢はとても重要だと思います︒しかし一生懸命頑張って仕事をしているだけでは︑信頼は得られることは残念ながらないと思株式会社サンリツ 木更津営業所 篠原裕︵営業コース修了︶いますので︑個人の営業スキルとして医療業界全体の情報を常に取得し︑個人のスキルを上げるだけではなく︑ち■っとした質問をされたときなどに活かし︑また今回受講した際のテキストには私の知らなかったことも多々載っており︑熟読しさらに活用していきたいと考えています︒最新の医療情報や各国︑日本︑またはその地域で流行している感染症等の情報も得ること︑こうした情報を得ることで何気ない質問や雑談から︑その医師や看護師の意図が■み取れるようになるのではないかと考えます︒そして意図を■み取り︑それに沿った提案をすることにより︑個人はもとより会社全体︑ひいては業界全体の信頼を得ていくことができるのではないかと考えます︒このように個人が少しずつ努力して成長することにより︑医師︑看護師からの信頼を得︑その結果として︑患者様にその時において最適な治療方針や処方を医師が自信を持って行い︑最終的には患者様の利益になり得るのではないかと考えております︒そして︑それが私たち臨床検査に携わる者としての幸せを感じることになるのではないかと思います︒﹁すべては患者様のために﹂︱︱︒このことを忘れずに︑今後も仕事に取り組んでいきたいと考えております︒21■ LABO – 2023.11 レポート レポート
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