Labo_535
10/16

健  脚腸に腰欠筋かせない第8回 テキパキ歩く肝となる腸腰筋を鍛えよう腱脚でいくつになっても元気にスタスタ歩きたい!そのためには体を支える太腿の大腿四頭筋、お尻の大殿筋といった足腰の筋肉が大事ですが、それだけでは十分ではありません。脚を前に振り出す筋力の強さも必要です。脚を前に振り出す筋肉の代表は、下腹の深部にある腸腰筋という筋肉です。腰椎から始まる大腰筋と、骨盤から始まる腸骨筋を合わせて腸腰筋といいます。腸腰筋は加齢で非常に落ちやすい筋肉で、80歳で若いころの半分程度にまで落ちてしまいます。そして、高齢者の場合は腸腰筋のサイズと歩行速度の間に、強い正の相関がみられます。腸腰筋が強ければ脚を強く大きく振り出せて、歩幅と歩行速度が上がります。また、振り出しが強くなれば、すり足にならずつまずきにくくなります。すり足になると、平地でもつまずくことがあり、危険です。速く歩くためにも、転ばないためにも腸腰筋は大事な筋肉といえます。元気に歩き続けるために重要な腸腰筋ですが、健脚筋トレの代表ともいえるスクワットでは鍛えることが攣つりやすくなりますので、終わったできません。スクワットで鍛えられる股関節動作は、脚を後ろに振る伸展の動きです。脚を前に振り出す屈曲方向には、負荷がまったくかかりません。を鍛えられる種目としておすすめしたいのは、椅子に座って脚を上げ下げするレッグレイズです。ろをつかみ、できるだけ高く足を上げて下ろします。膝を深く曲げれば負荷が下がり、膝をしっかり伸ばすほど負荷が上がります。できれば毎回足を床に下ろさずに反復してください。10~20回程度を目安に、毎回できるだけ高く上げ切ります。      あとに、しっかり腰を反らせるストレッチを必ず行うようにしてください。手軽に行える筋トレ法で、腸腰筋椅子の前のほうに座って座面の後なお、この種目は運動後に筋肉がレッグレイズの見本動画として、NHKの提供しているYouTubeの「筋肉関ケ原」をご参照ください。ここにはレッグレイズ以外にも、全身を鍛える4種目が紹介されています。「生きて帰るまでがいくさです!」といった、健康と合わせて平和を願う声掛けをしています。それに合わせて楽しく嬉しく実践してみてください。スクワットでは腸腰筋は鍛えられませんが、前に1歩踏み込んで戻るランジでは、腸腰筋を鍛えることができます。前の脚はスクワット同様に大腿四頭筋と大殿筋が、後ろの脚では腸腰筋が鍛えられます。また、ランジと似た動きとしては、大股歩きや、大股で踏み込んで腰を落として前に進むランジウォークでも鍛えることができます。大股歩きなら普段の歩行から取り入れることができます。さらにはそこから腰をしっかり落とすランジウォークを行えば、効果は格段に上がります。ランジウォークは少し滑稽に見えるかもしれませんが、体のための運動がカッコ悪いわけがありません。むしろカッコいい、意識高い系の歩き方をしているととらえて実践してみてくださいね。10レッグレイズは腹直筋と合わせて腸腰筋が鍛えられるお得な筋トレです。太腿の正面の大腿直筋も鍛えられます。これも脚の振り出しを強くする筋肉です。  ス  ク鍛えワッらトれでなはい腸腰筋  大  股ラ歩ンきジ、ウォークもおすすめ2023.08 – LABO ■令和医新谷本道哉(たにもと・みちや)運動生理学者、筋生理学者1972年、静岡県静岡市生まれ。大阪大学工学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。順天堂大学スポーツ健康科学部専任准教授。『みんなで筋肉体操』(NHK)の出演者として知られる。著書に『筋トレまるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社)、『スポーツ科学の教科書――強くなる・うまくなる近道』(岩波書店)、『スポーツがうまくなる!! 身体の使い方、鍛え方』(マイナビ)など多数。

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る