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体    幹腹の筋筋・ト背レ筋な運ら動を動    き体を幹改ト善レすーるニたンめグの第7回体幹機能を向上させる本当の体幹トレーニング手足の土台である体幹のトレーニングといえば、うつ伏せで肘をついて体をまっすぐにして耐えるプランクを思い浮かべる人は多いと思います。プランクとは「厚板」の意味の英語で、文字どおり体を一枚の板のようにまっすぐに固定します。プランクには、体幹の腹筋群、背筋群の筋トレのイメージがあるかもしれませんが、もともとの発想はちょっと違います。多くの運動のメインの動作は体幹よりも手足で行いますが、その手足の土台となるのは体幹です。土台部分である体幹をしっかりと固定・安定させることを狙いとして、プランクのような体幹トレーニングが考え出されたとされます。研究としてはオーストラリアの理学療法士のグループが90年代後半に、手足に運動課題を与えると、手足の動きに先立って腹筋群、背筋群が力を発揮することを示しました。このことから、「手足の土台部分として体幹を固定・安定させること」の重要性が注目されるようになったのです。プランクのような体幹トレーニングの本来の主な狙いは、「体幹部を固定・安定させる動作の練習」にあります。筋、横を向くサイドプランクでは内外腹斜筋と脊柱起立筋、仰向けで肘をつくバックプランクでは脊柱起立筋を鍛える効果があります。ただし、その主目的は固定・安定の学習であり、筋トレとしての効果は高くはありません。る動作で+(プラス)の力学的仕事をしてエネルギーを多く消費すること、下ろす動作で-(マイナス)の力学的仕事をして落下のエネルギーを筋肉で受け止めること、の2つの要素が重要となります。前者は乳酸の蓄積によるパンプアップ(一時的に筋肉が膨れ上がります)、後者は翌日の筋肉痛を生じさせます。うつ伏せで行うプランクでは腹直筋肉を強く大きくするには、上げつまり、筋トレとしてはしっかりと上げ下げをする腹筋運動、背筋運動のほうが、効果は高まることになります。体幹を強くしたいのなら、クランチ・シットアップ(腹筋群)、バックエクステンション(背筋群)といった、当たり前の筋トレ種目が優れています。体幹の動きは、骨盤とその上に連なる24個の背骨の動きで生じます。猫背で固まった姿勢が続くなど、この部分の動きは悪くなりがち。個々の関節の柔軟性と同時に周辺の筋肉も硬くなり、コリや痛みなどの不調につながります。体幹は、大きな可動性を保つことも重要となります。これには体幹の前後屈や側屈、回旋の動きを大きく行うラジオ体操のような運動が効果的です。ラジオ体操をアレンジして、体幹を中心により大きくしっかり動けるようにした「超ラジオ体操」を数年前に作りました。NHKからYouTubeで公開されていますので、試してみてください。背骨周りがしなやかにほぐれて気持ちがいいですよ。プランクは体幹の安定性の練習、強くするには普通の腹筋、背筋の筋トレ、可動性向上には超ラジオ体操。目的に応じて適切な運動を選択してください。体幹トレーニングといえばプランクが思い浮かぶが、筋力強化には普通の腹筋、背筋運動、可動性向上にはラジオ体操のような運動が適しているフロントプランクバックプランク2023.07 – LABO ■10谷本道哉(たにもと・みちや)運動生理学者、筋生理学者1972年、静岡県静岡市生まれ。大阪大学工学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。順天堂大学スポーツ健康科学部専任准教授。『みんなで筋肉体操』(NHK)の出演者として知られる。著書に『筋トレまるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社)、『スポーツ科学の教科書――強くなる・うまくなる近道』(岩波書店)、『スポーツがうまくなる!! 身体の使い方、鍛え方』(マイナビ)など多数。令和医新プ  ラ安ン定クさはせ体る幹こをとが狙い

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