Labo_529
8/16

検査のはなし vol.13専門医が解説する1438図 尿酸結晶の顕微鏡像2023.02 – LABO ■●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。また基本病態は関節炎なので、CRPや赤沈、白血球数などの炎症反応が高値を示します。腎障害を生じるとクレアチニンや尿素窒素(UN)が上昇します。尿のpHが低いと尿検査で尿酸結晶を認めることが多くなり、結石を合併した場合は血尿がよく見られます。関節穿刺で採取した関節液中に尿酸塩結晶やこれを貪食した好中球を認めることは、診断上の決め手となります。骨・関節のX線検査や超音波検査も行われます。日本臨床検査専門医会佐藤 尚武痛風とはどのような病気ですか?基本的な病態は関節の炎症〔関節炎〕で、突然、関節が痛みだします。足の親指の付け根〔第一足関節〕などの小さな関節が多く、痛みだけでなく、赤く腫れたりします。耐えがたいほどの激しい痛みが特徴です。発作的に出現するので痛風発作と呼びますが、多くの場合、1週間~10日ほどでだんだんと治まり、しばらくすると全く症状がなくなります。しかし放置していると1年以内に再発することが多く、これを繰り返していると足首や膝などの大きな関節も炎症を起こします。発作の間隔はだんだん短くなり、関節の周囲などに硬い盛り上がり〔痛風結節〕ができたり、腎臓が悪くなったり〔腎障害〕します。歩けなくなることもあります。痛風の原因は何ですか?痛風の原因は尿酸(ナトリウム)の結晶(図)です。関節内に針状の結晶が出現し、炎症を起こします。血液中の尿酸の理論的溶解度は7mg/dL程度が上限で、これを超えると尿酸は過飽和となります。過飽和状態でも尿酸は血液中に溶解できますが、不安定であり、体内局所の環境・条件によっては結晶化し、痛風発作を引き起こします。痛風ではどのような検査をしますか?痛風発作は血清尿酸値が高いほど起こりやすいので、血清尿酸値が重要です。尿酸値7.0mg/dL以上を高尿酸血症と呼び、この状態では痛風のリスクが高くなります。血清尿酸値には明確な男女差が認められ、男性の方が女性よりも1.0~1.5mg/dL程度高い値を示します。これは女性ホルモンの尿酸排泄促進作用によるもので、思春期前では男女差を認めず、閉経期以降では男女差が縮小します。そのため痛風は男性の方が圧倒的に多く、痛風患者の95%以上は成人男性とされています。痛風に関して注意すべきことは 何ですか?尿酸はプリン体の代謝産物なので、プリン体・単純糖質の摂取や飲酒を制限することは発症予防に有効です。飲水やアルカリ性食品の摂取、運動も奨励されています。病気の検査23「痛風」2

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る