Labo_529
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食い止めることが重要心電図や心臓超音波検査血液検査などを行い診断心不全は予備群の段階で▲ 身体機能・ 生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)がある拡張型心筋症です。ウイルス感染などによる心筋炎も心不全の原因となります。高血圧が長く続くと心臓や血管に強く負担がかかり、徐々に心臓が肥大して、機能の低下を招きます。生まれつきの心臓病で、生まれてくる赤ちゃんのおよそ100人に1人は心臓に何らかの異常があります。また、心不全の原因となる心筋梗塞などの心臓病を招くのが、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満など動脈硬化を進行させる生活習慣病です。心臓病がないからといって、安心はできません。心不全は状態によって「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられます。急性心不全とは、これまで症状がなかった人に呼吸困難などの症状が突然現れた状態です。多くの場合、心臓に何らかの問題がありながらも症状がなかった人に、過労や風邪などのストレスが加わったことで発症します。急性心不全から回復し、心不全の状態が慢性的に続くのが慢性心不全です。心臓の機能は徐々に低下していきますが、症状は比較的安定しています。しかし、油断をしていると、突然、心不全が悪化し(急性増悪)、これをくり返すことによって、やがて難治性の心不全へと移行していきます(図表2)。心不全はA~Dの4つのステージに分類されています。かつては心不全の症状が現れるCの段階から治療を始めていましたが、現在では心不全がなくても、生活習慣病や心臓病がある段階、すなわち心不全予備群(ステージAとB)の段階から対策に取り組む必要があると考えられています。この心不全予備群では心臓の機能がゆっくり低下していき、そしてある日突然、急性心不全を起こします。これがステージCの始まりで、増悪をくり返しながら、治すことがむずかしいステージDへと進んでいきます。心不全にならないためには、ステージAの段階で生活習慣病の改善に真剣に取り組むことが重要です。また、ステージBは心臓の病気が起きていても心臓の働きが保たれ、心不全の症状が出ていない段階です。適切な治療を受け、きちんと管理していくことで、心不全の発症を食い止めることが可能です。自治体や職場の健康診断では、心不全の危険因子となる高血圧や糖尿病などを見つけることはできますが、心不全を早期に発見する検査項目はありません。そ▼高血圧性心疾患▼先天性心疾患時間の経過 ▲・心臓に異常はない・心不全の症状はない・心臓病を発症・心不全の症状はない突然死する人もいる心不全発症(急性心不全)慢性心不全・心臓病がある・心不全の症状が現れる急性増悪をくり返しながら、徐々に心臓の機能が低下していく5■ LABO – 2023.02ステージAステージC図表2 心不全の進行心不全の予備群ステージB心不全を発症ステージD・治りにくい心不全

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