Labo_529
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心臓病がなくても要注意心不全の典型的な症状は息切れとむくみあらゆる心臓病の終末像だが▼左心不全と右心不全 心不全は発症する場所によって2つのタイプがあります。・左心不全: 肺から受け取った血液を全身に送り出す左心室のポンプの働きが弱くなって起こるタイプ。血液が肺にうっ滞するため、息切れや動悸、疲労感などが現れます。▼収縮不全と拡張不全 心臓の機能で分類すると、大きく分けて、「収縮機能が低下した心不全(収縮不全)」と「収縮機能が保たれた心不全(拡張不全)」に分けられます。 通常、心不全といえば収縮不全を示すのが一般的でしたが、近年の高齢者の心不全には拡張不全が増えています。加齢により心筋が硬くなり、心臓が十分に広がらないためと考えられています。心臓病がない人でも高齢になると心不全が起こりやすくなるので、注意が必要です。肺肺4●心房心臓に戻ってきた血液を一時的にためる役割を担う●心室強い収縮力で心室内の血液を全身に送り出す役割を担う吸きゅう」といいます。病気です。高齢化が進む日本では、心不全の患者数が増加して、「心不全パンデミック(大流行)」が起こりつつあることが懸念されています。心不全の典型的な症状は、息切れとむくみです。心不全が起こって心臓のポンプ機能が低下すると血液の流れが滞り、息切れやむくみが起こりやすくなります。初期のころは階段や坂道を上るときなどに起こりますが、心不全が進行すると平坦な道を歩いているときにも息切れするようになり、さらに進行すると安静時にも起こるようになります。横になると多くの血液が肺に流れ込むため、呼吸が苦しくなり、上半身を起こすと呼吸が楽になるのも特徴的な症状で、「起き坐ざ呼こむくみは腎臓に流れる血液が少なくなって尿の量が減り、水分が体内にたまるために起こります。心不全によるむくみは脚に起こることが多く、とくにくるぶしの周囲や足の甲、すねなどに起こりやすいのが特徴です。指で押すと、へこんだ跡が長く残ります。体内に水分がたまることにより、短期間で急に体重が増えることも特徴です。1週間に体重が2㎏以上増加したら心不全のサインです。そのほか、だるい、疲れやすい、夜間頻尿などが起こることもあります。体調の変化を「年のせい」にせず、心不全を疑ってみることが大切です。心不全はあらゆる心臓病の終末像ですが、その代表的な病気には次のようなものがあります。心臓に酸素や栄養を供給する冠動脈が動脈硬化により狭くなったり(狭心症)、詰まったり(心筋梗塞)して起こります。壊死した部分の働きを補おうとしてほかの部分が働きすぎることで、心臓が肥大・拡大して機能が低下します。心臓にある弁が十分に開かなくなったり、うまく閉じなくなったりする病気。心臓に強い負担がかかり続けます。心臓の拍動(脈)が不規則になったり、速くなったり、遅くなったりする病気。拍動の指令となる電気信号の異常によって起こります。心筋そのものの異常により、心臓の機能が低下する病気です。3つのタイプがありますが、心不全を起こしやすいのが▼息切れ▼むくみ▼虚血性心疾患▼弁膜症▼不整脈▼心筋症心臓には4つの部屋があり(左心房、左心室、右心房、左心室)、筋肉で囲まれています。心臓にある電気信号を出す場所からの指令を受けて収縮と拡張をくり返し、そのポンプ作用で全身に血液を循環させています。右心房上大静脈肺静脈下大静脈大動脈弓肺動脈下行大動脈・右心不全: 肺に血液を送る右心室のポンプの働きが弱くなって起こるタイプ。全身に血液がたまってしまうため、さまざまな場所にむくみが現れます。右心室全身全身左心房左心室心不全のタイプ2023.02 – LABO ■図表1 心臓のしくみと心不全

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