Labo_529
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心不全とはどのような病気なのかについて、一般的に認知度はあまり高くありません。そのため、日本循環器学会と日本心不全学会は、一般の人が正しく理解できるように、「心不全とは心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」という定義を2017年に発表しました。心臓は収縮と拡張をくり返すことで、血液を全身に送り出すポンプの働きをしています。その働きを十分に果たせなくなった状態が心不全です(4ページ、図表1)。心臓の機能が低下しても心臓は血液循環を保とうとしてがんばりますが、それによって心筋が肥大したり、心臓が大きくなったり、拍動が増えたりして、機能はますます低下していきます。現在、わが国の心不全患者数は推定120万人ほどとされています。2021年に厚生労働省が発表した統計によると、日本人の死因のトップはがんで27・6%、2位は心臓病(高血圧性を除く)で15・0%。この心臓病のなかで死亡率が最も高いのが心不全で41%を占めていました。また、心不全で入院した人の約8%は入院中に亡くなり、5年生存率は約50%とされています(日本循環器学会・日本心不全学会)。心不全は高齢になるほど起こりやすい5年生存率は約50%高齢化により大流行の兆し「心不全」賢く知って 正しく対処!病気とけんさ3■ LABO – 2023.02「心不全」という言葉は死因としてよく見聞きするせいか、治らない病気と思っている人が少なくありません。たしかに心不全はあらゆる心臓病の終末像ですが、早い段階で適切に対処すれば、良好な状態を保つことができる病気です。心不全は世界中で急増し、日本でも今後患者数が大幅に増えることが予想されています。健康長寿を実現するためには、24時間、365日、休みなく働く心臓を長く健やかに保つことが大切です。まずは心不全を正しく理解することから始めましょう。生活習慣病が危険因子対処が早ければ予防が可能

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