Labo_529
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図1 医療ツーリストの渡航目的4%9%e Accreditaio for 医療ツーリズムとは、「医療を受ける目的で外国へ渡航し、医療サービスを受けること」を示し、再生医療などの最新の医療、人間ドック、医療美容などの診察やさまざまな治療などが含まれます。インターネットの普及や国際交通網の発達を背景に拡大し、現在では世界約50か国で実施され、2008年の医療ツーリスト数は年間600万人程度と推計されています。医療ツーリストの渡航目的をみると、「最先端の医療技術」や「よりよい品質の医療」を求めてが約7割を占めていますが、各国の事情により異なるようです(図1)。たとえば、イギリスやカナダでは治療を受けるまで時間がかかるため「待機時間の解消」を、無保険者が多いアメリカでは「低コストの医療」を求める場合が多くみられます。医療ツーリズムで実績をあげている国・地域は、タイ、インド、シンガポール、マレーシア、韓国、台湾、コスタリカ、イスラエル、メキシコ、トルコ、アメリカなどで、アジア地域がひとつの拠点となっています。外貨獲得や内需拡大といった目的により、国策としての取り組みを実施している場合が多いようです。は、タイ約280万人、シンガポール約100万人、日本は43万人と推定され、医療ツーリズムに力を入れているアジアの国々と比べると、桁違いに少なかったといえます。わが国の医療ツーリズムへの取り組みは、2009年、「新成長戦略」に盛り込まれました。2011年には、医療滞在ビザを創設。医療目的での訪日外国人(患者本人や同行する家族なども含む)の滞在に関する規定が緩和されました。さらに、2011年、健康・医療の国際展開の推進を実践する中核的な組織として、経済産業省の後押しN)が設立され、2013年から官民一体となって、日本の医療技術・サービスの国際展開を推進。海外からの日本の医療サービスの渡航受診促進を図るため、医療ツーリストの受入れ実績のある病院をJIH2015年の医療ツーリスト数でMEJ(Medical Eelle2016年からは、政府と協調してn(国際病院)として海外へ発信する制度を設け、渡航支援企業などと一体になって医療ツーリズムを推進しています(図2)。2022年現在、47医療施設がJIH推奨病院の認定を受けています。一方、2011年、 厚生労働省の補助によって創設された外国人患者受入れ医療機関認証制度(Japan (ジェイミップ)は、 国内の病院や健診施設を対象に、外国人患者の受入れ体制を調査・評価し、一定の評価基準をクリアした医療機関に認証を付与する制度です。:日本)、通称JMIP世界で加熱する医療ツーリズムアジア地域が一大拠点にスタートした日本の医療ツーリズム渡航ビザやJIH病院推奨制度を創設在留・訪日外国人が対象厚労省発の認定制度JMIP(ジェイミップ)JAPAxcnce JapanMedical ServicInternational Patientsなかで、日本の医療水準の一段の向上に寄与するといわれています。ウィズコロナの時代、政府・自治体と医療界、企業が連携して推進しようとしている医療ツーリズムは、私たちに何をもたらし、どう影響するのか、その展望をまとめました。今年7月以降、空の玄関口羽田にグランドオープン予定の複合施設「羽田イノベーションシティ」が、医療ツーリズムの最先端基地を有するとして話題になっています。海外からの患者の来訪を見越し、隣接地に患者受け入れと研究を担う先端医療施設ができ、再生医療や不妊治療に取り組むほか、がん検診などの設備をそろえ、医療ツーリズムに本格参入と報じられました。海外から人を受け入れて、健康診断や診療などを提供する医療ツーリズム。グローバル化が深まる低コストの医療待機時間の解消16%よりよい品質の医療低コストの美容整形など最先端の医療技術40%32% International Hospitals日本政策投資銀行※合計が100%にならない場合があります。2023.02 – LABO ■12Medical Trendメディカル・トレンド医療水準成長の原動力に!「医療ツーリズム」

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