検査と病気の関係

検査項目の詳細

総蛋白(TP)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    6.6-8.1 g/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    自己免疫疾患、過栄養性脂肪肝、多発性骨髄腫、慢性肝炎、脱水症
    【低値を示す疾患】
    肝硬変、ネフローゼ症候群、低栄養状態

  • 検査の留意点

アルブミン(Alb)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    4.1-5.1 g/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    脱水症
    【低値を示す疾患】
    栄養失調,ネフローゼ症候群,肝疾患,全身性身体消耗、無アルブミン血症

  • 検査の留意点

AST(GOT)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    13-30 U/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    急性・慢性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変、脂肪肝、心筋梗塞、筋炎、溶血性疾患

  • 検査の留意点

    溶血で高値になる可能性があります。

ALT(GPT)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:10-42 U/L
    女:7-23 U/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    急性・慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、 肝がん

  • 検査の留意点

γ-GT(γ-GTP)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:13-64 U/L
    女:9-32 U/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    アルコール性肝障害、慢性肝炎、肝硬変、薬剤性肝障害、肝がん、胆道閉塞

  • 検査の留意点

血清ビリルビン(総ビリルビン)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    0.4-1.5 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    肝炎、肝硬変、肝がん、胆道系疾患、体質性黄疸、新生児黄疸、溶血性貧血

  • 検査の留意点

    胆道の疾患では、直接ビリルビンの値が上昇します。
    総ビリルビンは、直接ビリルビンと間接ビリルビンからなります。

ALP(アルカリホスファターゼ)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    38-113 U/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸、肝障害、転移性肝がん、薬剤性肝障害、骨形成疾患

  • 検査の留意点

    ALPとγGTが共に高値の場合は肝胆道系疾患、ALPのみが高値の場合は、肝胆道系疾患以外の病気が疑われます。
    小児期においては成人の約3~4倍の値を示します。

LD(LDH)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    124-222 U/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    急性肝炎、重症肝炎、転移性肝がん、EBウイルス肝炎、白血病、白血球の肝浸潤、心筋梗塞、多発性筋炎

  • 検査の留意点

    溶血で高値になる可能性があります。

総コレステロール(TC)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    142-248 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    高脂血症、ネフローゼ症候群、閉塞性黄疸、糖尿病、甲状腺機能低下症
    【低値を示す疾患】
    LCAT欠損症、甲状腺機能亢進症、肝硬変

  • 検査の留意点

    検査値は加齢に伴って増加する可能性があります。 

中性脂肪(TG)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:40-234 mg/dL
    女:30-117 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、狭心症、慢性糸球体腎炎、糖尿病、急性膵炎、食後高脂血症
    【低値を示す疾患】
    肝硬変、甲状腺機能亢進症

  • 検査の留意点

    採血は12時間以上の絶食した後の早朝空腹時に実施します。
    乳びにより高値となる可能性があります。

LDL-コレステロール(LDL-C)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    65-163 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    Ⅱa、Ⅱb型高脂血症、家族性高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症、甲状腺機能低下症、ネフローシス、肝障害、ネフローゼ症候群、糖尿病、肥満
    【低値を示す疾患】
    低リポ蛋白血症、低LDL血症、家族性低コレステロール血症、肝硬変、慢性肝炎

  • 検査の留意点

    遺伝が大きく影響するため家族歴の把握も重要になります。

HDL-コレステロール(HDL-C)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:38-90 mg/dL
    女:48-103 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【低値を示す疾患】
    肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム、急性肝炎初期、肝硬変、原発性肝がん、甲状腺機能亢進症、LCAT欠損症

  • 検査の留意点

血糖(グルコース)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    73-109 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    糖尿病
    【低値を示す疾患】
    反応性低血糖、インスリノーマ、インスリン自己免疫症候群、下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症

  • 検査の留意点

    可能であれば、食後12時間後の午前7~9時の間に採取してください。

ヘモグロビンA1c(HbA1c:グリコヘモグロビン)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    4.9-6.0 %
    (4.6-6.2 % :日本糖尿病学会)

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    糖尿病
    【低値を示す疾患】
    溶血性貧血、異常ヘモグロビン症

  • 検査の留意点

尿糖(尿検査:定量)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    20 mg/dL以下

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    糖尿病、腎性糖尿(先天性、妊娠時、腎障害)

  • 検査の留意点

尿中アルブミン(尿検査)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    30.0 mg/g・CRE未満

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    糖尿病性腎症、妊娠高血圧症候群、運動負荷、発熱、尿路感染、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群

  • 検査の留意点

    尿中アルブミンは、健常者では糸球体の選択的濾過機能により制御されているため、ほとんど排泄されません。

クレアチニン(CRE)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:0.65-1.07 mg/dL
    女:0.46-0.79 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    腎不全、慢性糸球体腎炎、溶血性貧血、糖尿病性ケトアシドーシス、脱水症、火傷

  • 検査の留意点

尿酸(UA)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:3.7-7.8 mg/dL
    女:2.6-5.5 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    痛風、腎不全、糖尿病
    【低値を示す疾患】
    キサンチン尿症、ウイルソン病

  • 検査の留意点

    女性ホルモンによって女性の数値は低めです。
    閉経後の数値は上昇する可能性があります。

尿素窒素(UN)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    8.0-20.0 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    脱水症、腎機能障害、膀胱腫瘍

  • 検査の留意点

eGFR
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    60 mL/分/1.73㎡以上

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【低値を示す疾患】
    慢性腎臓病

  • 検査の留意点

    慢性腎臓病では心筋梗塞などの心血管病(CVD)合併症の頻度が高くなります。
    年齢、性別、検査値(クレアチニン又はシスタチンC)より計算されます。

ナトリウム(Na)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    138-145 mmol/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    水分欠乏時:嘔吐下痢、多尿(急性腎不全利尿期)
    【低値を示す疾患】
    Na喪失時:慢性腎不全、尿細管性アシドーシス、Na喪失性腎症、アジソン病、ACTH単独欠損症、慢性副腎皮質機能低下症
    水分過剰時:重症心不全、非代償性肝硬変、糖尿病性腎症

  • 検査の留意点

    腎障害、水代謝の異常(嘔吐、下痢、浮腫)が疑われる際に検査します。

カリウム(K)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    3.6-4.8 mmol/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    K排泄障害:乏尿時(急性、慢性腎不全)、アルドステロン分泌低下(アジソン病、慢性副腎皮質機能低下症)、代謝性アシドーシス
    細胞内Kの流出:蛋白質異化亢進(発熱)、代謝性アシドーシス、糖尿病(インスリン欠乏時)
    【低値を示す疾患】
    K喪失時:嘔吐、下痢、急性腎不全利尿期、原発性アルドステロン症、医原性(各種利尿剤、ACTH、コルチゾールなどの投与)
    細胞内へのKの移行:アルカローシス、医原性(インスリン、ブドウ糖補液など)

  • 検査の留意点

    偽高K血症(全血低温放置、溶血)のため採血後は速やかに検査する必要があります。

クロール(Cl)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    101-108 mmol/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    高アルドステロン血症、クッシング症候群、異所性ACTH産生腫瘍
    【低値を示す疾患】
    嘔吐、利尿薬、嚢胞性線維症、下痢

  • 検査の留意点

カルシウム(Ca)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    8.8-10.1 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    原発性副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍骨転移、多発性骨髄腫
    【低値を示す疾患】
    全身性エリテマトーデス(SLE)、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、ビタミンD欠乏、リウマチ熱、急性感染症、慢性感染症

  • 検査の留意点

    血清カルシウムは、日内変動が見られます。

アミラーゼ(AMY)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    44-132 U/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    急性・慢性膵炎、膵臓がん、急性耳下腺炎、慢性腎不全、胆道炎腸閉塞、腹膜炎

  • 検査の留意点

    慢性膵炎 膵臓がんでは、2~3倍の高値が持続します。

CK(クレアチンキナーゼ)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:59-248 U/L
    女:41-153 U/L

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    急性心筋梗塞、心手術後、多発性筋炎(皮膚筋炎)、 進行性筋ジストロフィー、甲状腺機能低下症、心筋炎、心内膜炎、狭心症、脳血管障害、アルコール中毒、激しい運動後

  • 検査の留意点

    骨格筋に多量に含まれるため、筋肉運動、筋肉注射で上昇します。

HBs抗原
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    B型肝炎

  • 検査の留意点

    HBV劇症肝炎の場合、高感度の検査でも陰性を示すことがあります。

HBs抗体
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    過去もしくは現在、B型肝炎に感染している

  • 検査の留意点

    感染者でも低値陽性を示すことがあります。
    HBワクチン接種後の抗体獲得の確認検査として用いられます。

HCV抗体
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    過去もしくは現在、C型肝炎に感染している

  • 検査の留意点

TP抗体
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    梅毒

  • 検査の留意点

    全身性エリテマトーデス(SLE)でも陽性になる可能性があります。

クラミジア
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    クラミジア・トラコマチス感染症

  • 検査の留意点

淋菌
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    淋菌感染症

  • 検査の留意点

HIV抗原・抗体
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

  • 検査の留意点

    後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスとなります。

CRP(C反応性蛋白)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    0.14 mg/dL以下

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    炎症性疾患、感染症、悪性腫瘍、自己免疫性疾患、組織壊死

  • 検査の留意点

    ホルモン薬やステロイド薬を服用していると低値となります。

RF(リウマトイド因子)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    15 IU/mL以下

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    関節リウマチ、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)

  • 検査の留意点

尿蛋白
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    生理的蛋白尿(起立性、運動性)、糸球体性蛋白尿(糸球体腎炎、腎不全、腎硬化症、腎盂腎炎、IgA腎症)、尿細管性蛋白尿(糖尿病、アミロイドーシス、膠原病、妊娠中毒)、ネフローゼ症候群

  • 検査の留意点

    他の分泌物が混入すると、偽陽性になる場合があります。
    激しい運動、発熱、多量の肉食等で一時的に陽性となる場合があります。

尿潜血
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    腎前性疾患(多発性骨髄腫、単球性白血病、溶血横紋筋融解)、腎性疾患(各種糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症,ループス腎炎、アミロイド腎)、腎後性疾患(尿路系の結石、炎症,腫瘍)

  • 検査の留意点

    陽性の場合には尿沈渣の検査を行います。
    女性の場合、月経血混入による影響を受けやすくなります。

尿糖
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    糖尿病、腎性糖尿

  • 検査の留意点

尿沈渣
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    赤血球 1-4/HPF以下
    白血球 1-4/HPF以下
    (HPF=high power field:400倍視野)

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    腎・尿路系疾患全般

  • 検査の留意点

便中ヘモグロビン(便Hb)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    陰性

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸潰瘍、急性大腸炎、腸閉塞、寄生虫感染、細菌性大腸炎、原虫感染、痔疾

  • 検査の留意点

    検査回数を増やすことが発見に効果的なため2日法が推奨されます。鉄剤の服用で陽性になることはありません。

白血球数(WBC)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    3.3-8.6×10³/μL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    細菌性感染症 、化膿性疾患 、急性心筋梗塞、悪性腫瘍末期、慢性白血病
    【低値を示す疾患】
    再生不良性貧血、悪性貧血、急性白血病、悪性リンパ腫、骨髄がん、ウイルス感染症、薬剤アレルギー

  • 検査の留意点

    大人より子どもの方が白血球数が多い特徴があります。

赤血球数(RBC)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:4.35-5.55×10⁶/μL
    女:3.86-4.92×10⁶/μL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    脱水、真性赤血球増加症、二次性赤血球増加症
    【低値を示す疾患】
    各種の貧血

  • 検査の留意点

    一般に男性は女性よりも高く、特に生殖年齢に達する女性では月経のため低くなります。新生児においては高値ですが、その後徐々に減少して幼児期には成人並みの値になります。

ヘモグロビン(血色素・Hb)量
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:13.7-16.8 g/dL
    女:11.6-14.8 g/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    脱水 、悪性貧血、肝臓疾患
    【低値を示す疾患】
    小球性低色素性、鉄欠乏性貧血、急性出血性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血

  • 検査の留意点

    妊婦、高齢者は低値傾向にあります。

ヘマトクリット(Ht)値
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:40.7-50.1 %
    女:35.1-44.4 %

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    脱水、赤血球増加症(真性赤血球増加症、二次性赤血球増加症(新生児、高地居住者、エリスロポエチン産生腫瘍))
    【低値を示す疾患】
    水血症、各種の貧血

  • 検査の留意点

血小板数(PLT)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    158-348×10³/μL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    赤血球増多症、原発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病など
    【低値を示す疾患】
    再生不良性貧血、急性白血病、巨赤芽球性貧血、血小板減少性紫斑病など

  • 検査の留意点

    低値の場合、他の白血球系、赤血球系の異常がないかを確認します。

末梢血液像
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    <好中球>
    白血球細胞の一種。細菌、真菌、原虫などが侵入したところに集まり、細菌などを貪食、殺菌、消化する生体防御の最前線で働く細胞。感染、炎症などで増加する。
    <好塩基球>
    白血球細胞一種。アレルギー疾患、血液疾患、甲状腺機能低下症などで増加する。
    <好酸球>
    白血球細胞一種。アレルギー疾患、寄生虫疾患、膠原病、血液疾患などで増加する。
    <リンパ球>
    白血球細胞一種。生体防御機能・免疫機能に働く最も重要な細胞。機能的に分類したものはT細胞・B細胞。T細胞はウイルスやがんに働き、B細胞は形質細胞となって免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM等)を産生する。
    <単球>
    白血球細胞一種。血液中から組織の中に入りマクロファージとなり細菌や異物を貪食処理すると同時にその情報をT細胞に伝えることで免疫機能を発揮する。

  • 検査の留意点

    ステロイド薬を服用している場合は、白血球が大きく変動する場合があります。

PT(プロトロンビン時間)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    プロトロンビン時間正常血漿対照値±10%
    プロトロンビン比 1.00±0.15
    活性% 80-100%
    INR 0.85-1.15

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【延長】
    先天性凝固因子、ビタミンK欠乏症(肝機能障害、新生児脳内出血、抗凝固剤投与)、DIC、肝不全(肝硬変、劇症肝炎)など
    ※経口抗凝固薬(ワルファリンなど)を服用しているときにもPTの延長がみられます。

  • 検査の留意点

    事前に抗凝固剤や線溶阻害剤の服用の確認が必要となります。

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    22.5-37.5 秒

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【延長】
    内因系および共通系凝固因子の先天性欠乏症、分子異常症 、重症肝障害、ビタミンK欠乏症、線溶亢進、DIC、血友病
    【短縮】
    凝固亢進時(血栓症) 、高齢者(フィブリノーゲンとⅧ因子の増加による)

  • 検査の留意点

フィブリノゲン
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    200-400 mg/dL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    感染症、炎症性疾患、脳血管障害、心筋梗塞、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍
    【低値を示す疾患】
    DIC、肝障害、悪性貧血

  • 検査の留意点

    エストロゲン製剤の服用や運動後にも増加傾向を示します。

PSA
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    4.00 ng/mL以下

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎

  • 検査の留意点

    前立腺がんは、50歳を過ぎると罹患率が急激に増加します。

CEA
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    5.0 ng/mL以下

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    結腸がん、直腸がん、転移性肝がん、膵がん、 肺がん、食道がん、胃がん

  • 検査の留意点

AFP
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    10.0 ng/mL以下

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    肝細胞がん、卵黄のう腫瘍、肝芽腫、乳児肝炎、肝硬変症、妊娠

  • 検査の留意点

    妊婦は、胎児が育つほどAFPの値が上昇します。

フェリチン
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    男:21.0-282.0 ng/mL
    女:5.0-157.0 ng/mL

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    ヘモクロマトーシス、ヘモジデリン沈着症、再生不良性貧血、急性骨髄性白血病、急性肝炎、悪性腫瘍
    【低値を示す疾患】
    鉄欠乏性貧血 

  • 検査の留意点

    鉄欠乏状態の患者でも慢性感染症がある場合は低下しないことがあります。

CA 19-9
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    37.0 U/mL以下

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    膵がん、胆のうがん、胆管がん、大腸がん、肺がん、卵巣がん、肝炎

  • 検査の留意点

ペプシノゲン
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    ペプシノゲンⅠ値が70.1 ng/mL以上 または Ⅰ/Ⅱ比が3.1以上

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

  • 検査の留意点

    胃酸分泌抑制の治療でプロトンポンプ阻害剤を内服中の場合は、高値傾向となります。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    0.61-4.23 mIU/L(IFCC)

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    【高値を示す疾患】
    クレチン病、甲状腺機能低下症、亜急性甲状腺炎、慢性甲状腺炎
    【低値を示す疾患】
    バセドウ病、甲状腺機能亢進症

  • 検査の留意点

    甲状腺ホルモン値と合わせて判定します。

遺伝子関連検査
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    病原体核酸検査:病原体の核酸を検出するもの(例→コロナPCR等)
    細胞遺伝子検査:がん細胞特有の遺伝子における構造および機能の異常を検出するものや、病状とともに変化する一時的な遺伝情報を調べるもの(例→がん細胞で起きている遺伝子変異を調べる検査等)
    遺伝学的検査・生殖細胞系列遺伝子検査:ヒトの個体が持つ遺伝情報のうち、生涯変化することなく、継承される可能性がある遺伝情報を調べる検査。

  • 検査の留意点

心電図検査
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    異常がない

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    健康人でもときに不整脈は起こりますので、不整脈と診断されても驚くことはありません。ただ、不整脈には心肥大や心不全、弁膜症、心筋症、狭心症、腎疾患、血液中の電解質異常、投薬による副作用などさまざまな危険因子が考えられますので、検査結果を手がかりにエコー検査や採血、狭心症の検査などを行い、それらの危険因子を探ります。

  • 検査の留意点

    検査中は体の力を抜いて、リラックスして臨んでください。

血圧測定
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    高血圧基準 140/90 mmHg以上
    (日本高血圧学会参照)

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    本態性高血圧では、体質や食塩の過剰摂取、肥満などさまざまな要因が組み合わさって起こります。中年以降にみられ、食生活を中心とした生活習慣の修正が予防・治療にきわめて重要になります。
    二次性高血圧は、腎臓の働きが悪くなって塩分と水が排出されにくくなる場合、副腎など内分泌腺の病気によって血圧を上げるホルモンが増える場合、血管の病気が原因、ほかの病気のために使っている薬が原因で起こります。
         ↓
    二次性高血圧の主な要因
    ①腎臓の働きが悪くなり塩分と水が排出されにくい時
    ②副腎などの内分泌腺の病気によって血圧を上げるホルモンが増えている時
    ③血管の病気の時
    ④他の疾患で服用している薬が原因の時

  • 検査の留意点

    緊張していたり、イライラしていると、正確な血圧は測れません。
    測定前に1~2分の安静時間を心掛けてください。

胸部X線検査
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    異常がない

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

  • 検査の留意点

    金属類やプラスチック類等は、画像に映り込んでしまうため、検査前に外す必要があります。また、検査の際には十分に息を吸って止めた状態で撮影していないと、横隔膜が上がり心臓肥大気味に見えたりすることもあります。

胃部X線検査
  • 基準範囲(共用基準範囲、臨床検査法提要第35版等参照)

    異常がない

  • 異常値の場合に考えられる主な疾患(主な参考資料 ゼロからわかる疾患別検査値読みこなし 成美堂出版刊)

    食道ではポリープ、潰瘍、腫瘍、狭窄、変型、憩室、ヘルニアなど。胃では胃炎、潰瘍、ポリープ、腫瘍、がんなど。十二指腸では潰瘍、ポリープ、変型、憩室、狭窄などが考えられます。がんなどの病気以外にも、食道拡張症、胃下垂症などの機能的な病気もこの検査で診断することができます。

  • 検査の留意点

    検査当日は絶食し、前日の食事は21時までに済ませてください。