会長ご挨拶

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臨床検査業界の
未来を創造する協会運営を行い
これからも国民医療を支えて参ります

一般社団法人 日本衛生検査所協会
会長  久川 芳三

 この度、令和6年・7年度の日本衛生検査所協会会長の大任を拝すことになりました。引き続き、次代の衛生検査所、そして臨床検査業界を創造していくための協会運営を行ってまいります。
 当協会は、昭和48年3月に創立し、令和5年に満50年を迎えました。先人たちから紡がれてきた日衛協の歩みは、激動の臨床検査の歴史とともにありましたが、現在も課題は数多くあります。平成30年に施行された「医療法等の一部を改正する法律」に関連して、同年「衛生検査所指導要領」も改定されましたが、令和2年度の厚生労働科学研究で、衛生検査所の文書作成業務の増加や検査技師数・検査室面積の規定への対応が困難であることが報告され、当協会としても実態に則した柔軟な対応を行政に求めました。そして、それを引き継いだ令和5年度の厚生労働科学研究において、同要領の各基準等の見直しが検討され、過日負担軽減に向けた提言がなされております。そして、政府が推進する医療DXでは、検体検査コードや基準範囲の標準化の検討が必要です。また、臨床検査は、医療機関から毎日検体を集荷するなどの物流面が非常に重要ですが、人材不足の問題は当業界でも喫緊の課題となっております。
 しかし、様々な課題は会員検査所協力のもと、必ず乗り越えていけると確信しております。日衛協は創立以来、「検査精度の維持・向上こそが登録衛生検査所の生命線である」という理念に基づき、根幹である「精度管理」、そしてそれを守る人材を育てる教育を、推進して参りました。創立50周年を超えた今、この理念に立ち返り、国民医療を支える衛生検査所の存在意義、国民医療を支えていく決意と使命を、これからの臨床検査を担う新しい世代とともにあらためて考え、次の50年を紡いで参ります。
 この使命の重要性を突き付けた新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月に感染症法上の位置付けが5類になり、社会はコロナ禍以前の状態に戻りました。当協会では発生当初より、厚生労働省等からの協力要請に基づき、行政検査では1日20万件を超える検査受託体制を構築いたしました。当協会は、新興感染症に対する備えを怠ることなく、これまでに培われた経験、取り組みを活かして参ります。
 臨床検査は、日常臨床において医師が行う的確な診断、治療、経過観察、そして予防医学の健診においても必要不可欠な分野となりました。検体検査の多くが衛生検査所で実施され、国民医療を支える存在として評価を頂いております。
 これからも、当協会は、医療に欠かすことができない検体検査を業とする衛生検査所の団体として、会員相互が協同し、関係団体との緊密な連携のもと、国民医療を支えていく決意と使命感をもって真摯に責務を果たして参ります。
 引き続き、ご支援、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。 令和6年6月